第153話 イクトムージ




カリカリカリカリ カリカリカリカリ


すごい速さで事務処理してる。


「す、すごいですね」

「すごいです 確実に」


「おまえたち 仕事はすすん・・」


カリカリカリカリ


チマキ町長は言葉を失った。


イクトムージは通常の3倍以上のスピードで事務処理をしていた。

某アニメの赤いロボット以上の速さだ。


「すばらしい!」


「え?」


「ムージちゃん 事務の達人ですよ」

「わたしたちも睡眠時間が増えます 確実に」


町長 ショーヒ ドイーメの3人でイクトムージの肩を掴んで揺さぶる。



「あの、質問なんですが、みなさんこの給料で生活してるんですか?」

給料明細を見つけて話す。

3人の給金の大半が町の資金に回っていた。


「それはだな。この町は貧乏なのだ。私たちが節約して町の資金に回している。他の費用も町のほうに使っているのだ。いまはルフダンワ亭からの袖の下を生活費に回している」

(袖の下=ルフダンワ亭の維持費として町長に売り上げの10%を納めている)


「そ、そんな苦労してたのですね」


「調度品があるだろう。そこのツボは銅貨1枚だ。そっちの絵画も銅貨1枚だ。この屋敷の調度品はすべて銅貨1枚だ。はっはっは」


「そ、そうなんですね。あまりにもすごい調度品(探すのが大変なほどの安物)なのでびっくりしました」


「大丈夫だ。給料はきちんと払う」


「いえ、わたしもみなさんと同じでいいですよ。ただ、町が豊かになったら たくさん給料をください」


「ムージちゃんは なんていい子なんですか」

「こんないい子みたことありません。確実に」


秘書ズはムージちゃんを抱きしめる。




「わかった、町が豊かになったら高給にしよう」


町長は親指を立てる。


「ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです」











「こんなに優秀なのにどうして失業したんですか?」

「勤め先がつぶれたとかですか?確実に」


「いえ、確実につぶれてません・・・けど・・・いつも解雇されます」


「なぜだ?」


「えと、おまえは仕事をやりすぎるんだ。ゆっくりやれないなら首だ、とか・・・

そんなに早く進めたら もっとできると思って仕事を増やされるだろうが、とか言われて・・・」


「理不尽ですね」

「許せません。確実に」



「大丈夫だ。ここならいくらでも仕事していいぞ。うんうん」


「ありがとうございます」


「疲れませんか?」

「休んでいいんですよ。チマキちゃんなんでサボってばかりですから。確実に」



「事務は得意なんです」


カリカリカリカリ








「貴重な人材です。絶対に手放していけません」

「どんな手を使ってもここで末永く働いてもらいましょう。確実に」


秘書ズはチマキ町長を説得するのだった。


「わ、わかった。おまえたちがそこまでいうなら・・・」


そして、ムージちゃんは町長ズの従者事務補佐になった。


肩書はあるが 給料は無しみたいな感じだけど

秘書ズの一員となったのだった。


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