第157話 王都に到着




翌朝、みんな起きたので毛布を回収しようとすると

ケブヤ ノモコズは渡してくれた。


しかし、

「僕から取り上げるのか」

「わたしのよ 離さないわ」

王族ズが毛布を抱えて離さない。


「ヘイサクどの みのがしてくれ」

「ごかんべんをー」

護衛隊のみなさんから先に回収しようとしたが

こちらも抱えて離さない。


護衛できるのか心配になる。


しまいには「売ってくれ」といわれ王族ズと護衛隊に売った。


何かというと すぐに「売ってくれ」と言うようになった気がする。




そんなにいい品じゃない安物なんだけど

よほど肌さわりがよかったのかな。


けっこういい金額で売れてしまった(毛布 護衛隊含む 合計金貨10枚)。


王都に着いたら支払うということだが返済金があと80枚になった。


最初に褒賞金を渡しにきたときは「父(王さま)の許可なく買えない」とか言ってた気がしたけど。


店で買ってくれた金額は省いているけど、この調子なら王都で商売したら借金全額 耳揃えて返せるだろう。


なにげに中古スマホを王族ズに売れば返済金余裕な気がしてきた。



早く借金の決着をつけて店に専念したい。





そうだ、一人忘れていた。

チマキ町長だ。

天国にいるような表情で毛布にくるまっている。




毛布を回収しようとした。


すると・・・















「はなせ!はなすのだー!ぬくぬくから絶対でないぞー!」



こちらも毛布を離さない。


「たとえ世界が滅んでも このモウフは わたさーん!」



なにを言ってるんだ、この人は。



チマキ町長は「人をダメにする掛布だ」と言っていたが・・・








確かに人がダメになった・・・。




俺はどうしたらいいんだ・・・





仕方ないのでもう少しチマキ町長を寝かせることにした。


チマキ町長は毛布を抱えて幸せそうだ。



「ヘイサクも苦労するな」

ケブヤに同情されてしまった。



おまえさんもチマキ町長には気をつけろよ と言いたい。

(この一言は現実となる)



・・・



ロバ馬車のせいで進むのが遅いが

距離は進んだので今日の夕方には王都に到着する予定だった。



しかし・・・



「今日も野宿しようじゃないか」

「賛成だわ。野宿してばーべきゅーをしましょう」


王族ズは王都門がもう少しというところで馬車を止めて、野宿をすると言い出した。


バーベキューに味をしめてユニットハウスで音楽きいて、そして毛布にくるまって眠る気なのだろう。


たしかに、昨日は楽しかった。


王族ともなれば息抜き出来る場所が必要なのかもしれない。



しかし、


「王都が目の前なので中に入りましょう」


「なぜだ!ばーべきゅーをしようじゃないか」

「そうよそうよ するべきだわ」


王族ズが王都に入りたがらない。



護衛隊長がひそひそいう。

「王都に入ると即お城に行くことになるからです。もう少し息抜きをしたいのでしょう」


なるほど。




だが断る!



「王都に入りましょう。早く子爵の悪行を訴えたいですから」


王族ズは残念そうな顔をしているが、

また寝る寸前で兄妹ケンカをされたらたまったもんじゃない。


バーベキューはまた今度にしてもらった。


裁判の訴えに早く行きたい。



・・・・




王都の門についた。


入門審査で長蛇の列が出来ている。


タクラガ号とキャプテンノモコ号で並ぼうとしたが

「こっちだよ」と王族ズに言われてついていくと貴族専用の通用門から門に入れた。


先に裁判所にいくことにした。


俺と町長と裁判の手続きをする。


ノモコとツンパは商業ギルドで露店の手続きをする。




裁判所に到着した。

そして録音を証拠として出せるか聞くと大丈夫とのこと。

「すごい魔道具だね。これが真実なら何の心配もないよ」と言われた。


裁判の手続きが終わって馬車のところに戻る。


「きょうだい。ケブヤのだんなが兵士に連れてかれちまった!」


ノモコが戻ってきてツンパが兵舎に連れていかれたという。


世紀末モヒカンだったから また山賊と間違われたか。


なんでこうも問題ばかり起こすんだ。



どうしようか。




「朝は取り乱したが、しかし!ここはわたしに任せろ。ケブヤを連れてくる」



チマキ町長がまかせろというのでまかせることにした。


毛布の一件で醜態をさらしたので汚名返上したいのだろう。


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