第79話 ホークスキル

第79話




村長のせがれが「師匠!」と叫びながら畑にやってきた。


「なにしてだオヤジ。これはなんだ?」


「これはトラクターゆう鉄の召喚獣じゃよ。わしスキル覚えちゃったのじゃ」


「ええ!スキル覚えたのかよ!おめでとう!うぅ」


せがれのヘソマが泣き出した。


これはいいことなのかな。



村長は騎士爵だそうだ。


わしはガーリコシマですじゃ・・・の姿からは想像できなかった。


オーク肉祭りのときやっていたガーリーダンスは村長が作ったダンスで

あのダンスで先代領主さまから認められて貴族になれたといっていた。


確かに笑って盛り上がった・・・けれども! ダンスで貴族か。

そしてそれ以来ずっと村長をやってるのだそうだ。



「ヘソマよ。とらくたーに乗ってみないかの?動かせるようになってうれしくて誰かを乗せたかったんじゃ」


「オヤジ。乗せてくれ」


「了解。乗ってくれじゃ。はっし~んじゃ」


「わ~ですじゃ」「わ~」



70近いじいさんと30後半のせがれがトラクターに乗ってはしゃいでいる。


俺は何を見せられているのだろうか。



村長は自分のトラクターみたいにいってるけど 俺のトラクターね。




・・・



トラクターを楽しそうに乗り回す村長を見ていた。


なんかもうトラクターを村長にあげたほうがいい気がしてきた。


「ガーリ村長にトラクター差し上げますよ」


村で借りていた家をただでもらったし4万円のトラクターあげちゃおう。


「ヘイサク様、ありがとうですじゃ。トラクター大事にしますじゃ」


「オヤジのスキルは師匠のおかげだ!師匠はやっぱりすごい!賢者だよ!」


とせがれに褒められたが

複雑な気分だった。


師匠じゃないけど。




しばらくの間、アラセブンティーとアラフォーの2人はトラクターを堪能した。



トラクターをもらった村長は大喜びだった。


「ヘイサク様感謝しますじゃ。わしはガーリコシマですじゃ」


しってるっての。



「師匠!俺には武術教えてくれよ!」


まだ言ってるのか?



「前向きに検討中だから」



まぁ待ってても教えなんだけどね。


40近いおっさんが27の俺に武術教わってどうすんだよ。



俺は素人だっての。

催涙スプレーあっての格闘なんだよ。

自己流で体術を磨いているくらいなんだから。



せがれは騎士になれるのかな?

騎士爵は世襲ではないってことだけど。


手柄を立てればなれるのかも。


それで武術を習いたいのかな。


教える気はまったくないんだけどね。




しばらくするとクサゴタさんが来た。


「賢者さま。おら ホーク ゆうスキルさ覚えただ」


「え?ちょっとまって。クサゴタさんスキル覚えたの?」



「賢者さまからもらった農業ホークのおかげだ。あのあとすぐにスキルを覚えただよ。報告遅くなってしまっただが ありがとごぜますだ」


「いえいえ・・・ホーク?」


「んだ。賢者さまがおらにスキルさ与えてくださっただよ」



俺はホークをあげただけなんだけど。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る