カレンダー

仁城 琳

カレンダー

カレンダーをめくる 破ろうとして手を止めた

カレンダーをめくらなければ

あなたがまだ隣にいてくれる気がした


あなたがいなくなった日

全部夢だったら良かったのに

どうしても止まらない涙を

あの頃のように拭ってくれたら良いのに


ふざけて早足で歩く小さくて大きな背中を

置いていかないでとはしゃいで追いかけたあの日

今はもう目の前には無い あなたの背中を追いかけて

私だけ生きていくの


いつも一緒に歩いた散歩道

ずっとあなたの右側を歩いていたのが

いつの間にか私が右側になって

今は私の隣はからっぽ ひとりの散歩道

私だけ生きていくの


カレンダーをめくる 破ろうとして手を止めた

カレンダーをめくらなければ

あなたがまだ隣にいてくれる気がして


だけどあなたはきっと叱るでしょう

ちゃんと前を見なさい 転ぶよ

優しく握ってくれる左手はもう無いけど


カレンダーをめくる 破ろうとして手を止めた

時間が巻き戻ってほしかったから

あなたにまだ傍にいてほしかったから

魔法が使えたら良かったのに


カレンダーをめくる 破ろうとして手を止めた

私は魔法が使えないから

あなたがいない世界で 生きていくの


カレンダーをめくる 思い切ってページを破る

あなたがいなくなっても

あなたと過ごした時間が消えるわけじゃないから


時間が動き出す

前を向いて歩いてゆける




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