第15話 【9月15日】
「久しぶりだね」ボクは彼女に言ったが、内心はどう言葉をかけたらいいか分からなかった。
「どうしてた?」彼女は昔ながらの笑い方で言った。
「どうもこうも、何とかやってるって感じだね」ボクも一応笑ってみせた。
顔を合わせてから気になっていたのは、自分の元恋人であり友達である彼女の、その痩せて生気の抜けた姿だった。
「私は相変わらずよ」それでも彼女の言葉には自信がこもっていた。「いつも絶好調。仕事も恋も、昔と同じ…といきたいんだけどね」
「どうかしたの?」ボクは聞いた。
「病気、癌。びっくりした?」
「え?ああ、うん」
と云うよりボクは自分たちの間にもう取り返しがつかない程しっかり歳月が重なっていることを考えていた。「そうだな…びっくりした」
ボクは目の前にあったアイスコーヒーを一口啜った。
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