第14話 【9月14日】
友達の一人から着信が入った。ぎょっとして電話に出ると本人だった。驚いた理由はただひとつ。その友達とは久しく音信不通で、ボクはてっきりもう会えないものと思っていたからだ。それに最後の別れ方があまり良くなかった。正直言えば最悪だった。
ボクらは恋人どうしだった。周囲から見ても自分たちでもそれは正しく恋人に相応しい間柄だったし、実際ボクらはお互いを近しく感じていた。それがいつの頃からか違ってきた。まるで摩擦のない、二枚の大理石プレートがゆっくりと一方を滑っていくかのように、ボクらは気がつくと自分たちではどうすることもできなくなるほど離れた場所にいた。
「明日会わない?」その元恋人で友達の、彼女は言った。
「いいけど」ボクには断る理由はなかった。
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