第6話 名前を呼んでくれて

【ユキさん、帰りはみさを連れて帰っていいですか?】


【もちろん、私はインストラクターの人と帰るね】


みさ、喜んでる。


【はるととマリンジェット!うれし~!本当は最初にはるとに乗せてもらいたかったな】


【ごめんね。じゃ、乗ろうか?】


みさを連れて海岸に。


………マリンジェットとみさ………


【はると、もっとゆっくり…怖いよ】


【ごめん、ごめん。速度落とすね】


【今の仕事いつまで?】


【引き継ぎとかで、後2ヶ月以内には】


【…そう、そうすると、あまり会えないね】


【土日祝に繁盛するからね】


【…仕方ないけど、はるとはこの仕事やりたかったんだよね?応援するよ】


【ありがとう】


着いた。近いからすぐだね。


【おーい、はると!無人島に戻って!】


るいさんだ。何で?


【アクティビティでトラブル!バタバタしてるから、はると、残ってる二人を頼む。恩うっといて!】


 さっきのトラブルか。長引いてるね。暇だし、まぁ、いいかな。あと二人でしょ。


【みさ、るいさんとこで待ってて】


【何か飲んでるよ。気をつけて】


………マリンジェットとりな………


【ユキさん、すぐ戻ってくるので】


【慌てなくていいよ。りなちゃんよろしくね】


りなを乗せて、


【はると、ユキさんといると、楽しいでしよ?】


【な、何で?】


【はるとってさ、昔からの年上の女性に惹かれること多いもんね。最初は小学校の先生で、高校では文化祭にいった女子大生で…】


【過去の話だろ!今はみさだよ】


【なら、いいんだけどさ。マリンジェットって密着するね。こういうふうにすると…どう?ドキドキする?】


何してんだよ、くっつき過ぎた!りな。


【私達、こういう未来もあったのかなーって】


【…ごめん、俺はみさが】


【解ってるって!かまったの!それに最近彼氏できたもーん!!】


そうなの!!!初耳。それは今度聞こう。よし、着いた。すぐ戻らないと。


【じゃ、ユキさん迎えに行ってくるね】


………マリンジェットとユキ………


【お待たせ〜ユキさん】


【はるとくん、ごめんね。マリンジェット操縦できるってほんと助かった】


【気にしないで、楽しいから】


【楽しいよね、私も免許とろうかな?】


【お店の方、人足りなくなっちゃいますよ】


痛っ!


【ユキさん、大丈夫?何か踏んだの?】


【なんか、踏んじゃったみたい。でも、大丈夫】


血が出てる。海水で洗ってみよう。


【何か刺さってる訳ではないみたいですね】


【ドジだねー、私】


とりあえず、消毒とバンドエードを。


【はるとくん、何で持ってるの?】


【海だからね。何あるか解らないから】


【すごっ!それにテープ貼り方優しい…だから、モテるんだね。みさちゃんやりなちゃんが好きになるの解る】


【ユキさんも?】


【えっ?】


変なこと言っちゃった…


【ユキさん、俺につかまって】


【そんな、大袈裟な…痛!】


【だから言ったのに。はい、遠慮しない】


【ヤダよ…大丈夫だから】


【足の裏だから、無理しない!ほらつかまって】


ユキさん、やっと言う事聞いた。


【はい、乗れたね】


【………】


【ユキさん?大丈夫?痛むの?】


【ヤダって言ったのに…】


【俺が汗かいてるからか…ごめんなさい】


【違うって!私が汗かいてるから!嫌だったの!】


【ほんと?気が付かなかった】


ユキさんの👕の背中を、ちょんと…汗かいてるね。


【ヒヤッ!くすぐったい!駄目だって…あっ!】


※ザバーン!!!※


ユキさん、マリンジェットから落っこちた…


【もう、はるとのバカ!ビショ濡れ!】


【ごめん。俺が悪かった…😁】


【はると、何笑ってる?反省してないでしょ?】


【だってさ、ユキさんの頭…😁】


【何、きゃ、何これ?】


ワカメだよ。大きなワカメ。


ユキさんも、笑って😆


【はるとも、これでもくらえ!】


ワカメ返しって、うわっ、これナマコじゃん!


【ウギャー、ユキさん、ナマコ!!】


ユキさん、驚いて…


【えっ、ナマコ!ギャ!何かヌルっとしたけど、思ったけど、ギャー、触っちゃった!!!】


………沈黙………二人して😁………


ユキさんは、


【なんか、自然とタメ口になってる。二人とも】


【ユキは、何度か、はるとって呼んでるもんね】

 

ユキって言ってしまい、ふざけ過ぎたかな?


【はると、嬉しいよ。始めてユキって呼ばれた!】


【嬉しいの?】


【友達のような、弟のような、そんな存在だったから。ユキさんってよそよそしく感じてたの。何か距離開けられたような。だから、嬉しいの。とにかく嬉しいの!】


友達…そうだね。これから働く友達だもんね。


夕日と重なるユキさん。素敵すぎる!カシャ!


【あっ、これ、はると!撮るな!】


やだよーん!大切に保存するもんね~!


【こうしてやる!これでどうだ!】


【ギャハハ!くすぐったい!ごめん、勘弁してー】


※ザバーン※ 俺もびしょ濡れ!もう!帰りどうするの?


【これで対等だね。ちょっと寒くない?帰ろう!】


【うん。ユキが悪いんだぞ!】


【はるとだよ。最初はさ】


【そうか、ユキが汗かいて、それを俺が気がついて。ごめん。俺だ!】


ユキさん、何後ろにまわって?


【はるとの汗は…クンクン…何か磯の香りしかしないなー。残念、つまんな〜い】


 そう言えば、ユキさん、男の人の汗よく嗅ぐね。るいさん言ってたな。変な趣味だな。


【寒いね。はると】


【ユキ、しっかり捕まって。俺が風よけになる】


※ビューーー※ 凄い風だ!さ、寒い…


【優しいな〜…みさちゃん羨ましい…】


【何か言った?】


【何でもない。着いたらシャワーだね。暖かい!】


【俺、ユキの後でいいからね】


【ありがとう。紳士だねー、はると】 


ただ早く出てね。風邪ひきそうだ。


【はると、おかえり…何でびしょ濡れ?しかも二人して?】


【みさ、後で説明するね。とりあえずシャワーを】


ユキさん、早く出てー!!!ヘックション!!!






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