第5話 解ってもらえるかな?

 この海で、この場所で、働けるならこれ以上の幸せなことはない。何としてもここで、出来るならずっとここで。


【はるとくん、みさちゃんとりなちゃんは?】


【アクティビティから帰ってこない。楽しんでるんじゃない?】


【探しにいこう!ちょっと来て面白いものあるんだ!るい、はるとくん連れてくけどいい?】


【いいよー、暇になったから。スマホは持っていって。何かあったら呼ぶから】


【じゃ、はるとくん行こう!きっと喜ぶよ!】


………………………海岸………………………


【はい、操縦できるでしょ?】


マリンジェット!なぜ?


【これ、借りてるんですか?】


【中古。廃棄するっていうから、貰ったの】


【廃棄するほど傷んで無いと思うけど】


【そうでしょ?使えるよね?さすがにお客さんには貸せないけど。で、こっちから無人島の裏側にまわってさ、みさちゃんとりなちゃんびっくりさせよう!】


 二人で!うれし~!けど…これ結構密着するんだよな。緊張しちゃうよ。


【やっぱ、駄目かな?みさちゃん気にしちゃうね。とりあえず、はるとくんだけ、行ってきて。じゃ!】


 ここで俺は何という早さで。自分でも無意識に、ユキさんの腕をつかんでいた。


【一緒に行きましょう!】


【いいの?無理しなくても…】


【無人島の場所や、周回方法知らないので、教えてください。操縦は出来ます。免許も持っています】


 ユキさん、あなたと行きたいんです!と声に出さずに叫んでいた。


【はるとくん、じゃ、行こう!】


 久しぶりに乗るな。ユキさん、乗せてると…上手く操縦できるかな?とりあえず右舷浮標、左舷浮標と。見当たらないから、大丈夫かな?


スタートして…おおっ、懐かしいな。この振動。


【はるとくん、大丈夫?】


うわっ、耳元で。ユキさん、焦ったー!


【大丈夫です。行きますよ!】


少しずつ速度をあげて、無人島に向けて。


もう着いちゃった。近いなー。


【ここ、周回するから。はるとくん先導して、免許持ってる人達だけになるけど、この付近に停泊させて。無人島へようこそ!とか言ってね。この無人島、うさぎもいるよ。ほら、可愛い!見た?】


ユキさんの可愛さには、かなわないよ。


【はるとくん、何か言った?】


【何も…あのー、はるとくんでなく、はるとって前に呼んでくれたことありましたよね?出来れば、呼び捨てにしてもらえると、嬉しいっいうか…】


【解った。じゃ、私もユキでお願い!】


【それは、年齢的にも失礼になっちゃうので】


【じゃ、私もはるとくんにするよ】


【うーん、じゃ、徐々に、慣れてきたらで】


向こうで、アクティビティのマリンジェットが。


 何だよ、みさ、りな、インストラクターの後ろに乗ってんじゃん!こっちは気にしたのに。


みさが気がついて、


【はるとー、来てたの?】


インストラクターの人達は、


【無人島に停めますね】


りなも合流して、


【マリンジェットの速度と波の衝撃、癖になるねー!はるとってだいぶ前に免許取っていたよね?ステップアップして、結構費用かかったって】


【まぁ、せっかくだから一級にと思ってね】


インストラクターの人は、


【はじめまして、さきほど、るいさんに説明させてもらいました。お聞きに…】


【はい、昔からの夢だったので…即答で】


インストラクターの人は、


【ありがとうございます。本当に助かります。特にマリンジェットはかなりの季節出来ますので。よろしくお願いします】


【はい、楽しみながら出来る夢のような仕事です。すぐにではありませんが】


【もちろんです。あの喫茶店なら人気出ますよ!すみません、変な意味ではなくて、立地条件とか…】


 気を使ってるよな。この言い方。るいさん、ユキさんのルックスだろ!言われなくても解ってるよ。そういう男も来るだろうな。


インストラクターは、


【ちょっとトラブルらしく…すみません。後で迎えに来ます。実はこの無人島には…】


すかさず、俺は、


【うさぎいるんですよね?】


ユキさんが、


【教えちゃった。テヘッ!】


テヘッって、可愛いじゃん。ユキさん。


インストラクターは、がっかりして、


【先に言わないでくださいよー、毎回この反応楽しみにしていたのに〜じゃ、後ほど】


ユキ、みさ、りなと俺が残り、無人島探索。


みさは、


【はると、ユキさんと来たの?二人で?】


【うん。停泊場所や周回方法など知らないから】


【ふーん。仲いいねー】


【姉と弟みたいなもんだよ。ユキさん言ってから】


【ユキさんは…でしょ?はるとは…もういいや!惨めになってきた。私の悪い癖だ】


明らかに疑ってるな。よーし、


【みさ、ヤキモチかな~?】


【だってさ、ユキさんのこと見るはるとの目、姉見てる目とは明らかに違うじゃん!ユキさんの魅力解るもん!年上の魅力凄いもん!服装もかわいいもん!】


みさ、冷静じゃないね…


【ごめんね、じゃ、帰りはみさ、後ろ乗って!】


【ユキさんは?いいのかな?】


【ユキさん、インストラクターの人に説明して、乗せてもらうよ】


 ユキさん、聞こえていたかな?あれ?りなも、いない。ユキさんと何処か?


【可愛いーーー、ほら、こっちにも!】


【草食べてるモゴモゴしてる!これは映るー!】


うさぎ見てたのか🐇みんな。









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