Some girls & Some boys

判家悠久

Honky tonk woman.In the monitor.

 大人になって分かった事だが、是非配慮せねばは有る。ただ人生はそうは収まらない。若さは、無鉄砲だから。それを受け入れろよ、俺。

 でもさ、その場の雰囲気って、相手があってこそ。正解なんて、どこにもないさ。

 さて。ミレニアム期を掻い摘んでみようか。。



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 俺大鳳一樹の務める畠山精密機器販売は、関東中部関西を中心に、あのアメリカメジャーコンピューターを拡販している中大手だ。そのシステム周りとして、通信機器も上限無く売れて行く。所謂ITバブルなので割愛する。


 俺は、畠山精密機器販売本社ビルの恵比寿支店の業務課に配属される。

 元は営業も。腎臓を患い、システィマティックにも順応していた事から、業務本部の淵野辺静香本部長に一本釣りされた。たまに階下に来ては、いじられるので、まあ子飼いは多い方が良いのだろう。


 業務課の仕事としては、発注業務にオペレーションサポート。柔な仕事も、小商いの発注量が膨大で有り、サポートに入らなければ、営業はユーザー先に行けない。


 そんな、恵比寿支店業務課に、やたら色香の漂う、ユーロハーフ顔の女性加賀雪乃がいる。本人は御構い無しだが、何かと接触したり、こんを詰めればはだける事もある。営業は至って男性が多いが、ムラっとしないのは、加賀さんが既婚者だからだ。人妻好きはいるが、真っ正直の面倒臭い奴は、ほぼ中部地域に異動となるので、都合良く紳士ぶっている。

 勿論、加賀さんが帰宅し、上司も帰れば、是非一夜共にのシュミレーションが夜の会話になる。ハラスメント全開は、古今止む得ない。



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 そんな何気無くも、慌ただしい日々で、あるAVがバカ売れする。「セクシーダイナマイト、ユウキ探訪。池袋駅編」。AV女優ユウキが何の事は無い、風俗店に仮入店して、絶頂する話だ。そのバカ売れした池袋編は、ピンサロ高速連続48人斬りで、本番1回しか無くてもシチュエーションで売れた。

 いきなりどうしたも。妙典共同寮同期の田代駿太が俺の部屋に怒鳴り込んでは、まあまあとレンタルビデオを再生すると。ううん、とブラウン管の距離は15cmになる。ユウキ=加賀雪乃だった。


「マジかよ、」

「まあ、美人程お金に困らないって事だ」

「節度はあるんじゃないのか、」

「あるも何も、ストロークのタイミングが擬似じゃないな。まあ、知っておいた方が、一樹へと見せる、あの冷たい視線も薄らぐだろう」

「そう言う感じで男見てるのかよ。ごめん、無理だわ、」


 無理とは言え、行列のお客全員抜き散らし、エンドマークで見切ってしまう。ユウキの応援に変わった達成感は、奇妙に芽生えた。



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 そこからの、業務課の日々は淡々だ。ユウキ=加賀雪乃に上擦りもせず。そうそうと相槌は打っている。

 しかし、俺の何処か冷えた視線に気づいたか、いざ知れず。加賀雪乃は失踪した。社内で、身バレしたのは、ほぼ同時のタイミングだった。

 駿太お前さ、言うなよ。レンタルビデオ延々貸し出し中だぞ。それはそうだになる。

 そして、加賀さんの一回り上の旦那が、上階の業務本部にお詫びに来たらしい。その業務本部の女性女司の三柴瀧子課長が、俺とこそっと内輪話に。


「やはり、借金とかですか」

「それなのだけど、旦那さん、あらかた調査したけど、無いですって」

「女の性とか、生々しいですね」

「そこ、大鳳さんにしては大正解。夜の生活、旦那の風采見る限り、お察しの範疇。子供が出来ないと、そっちに走るのもね。残念だったわね」

「何がですか、」

「ふーん、そんな感じね。それなら結構。美しい生き物の毒牙は抜け難いものなのよ。以後忘れぬ様に。ここ絶対よ」


 とぼけてはいない。俺は加賀さんに口止めとして、夜のお供は出来たかもしれない。ただ、加賀さんの俺を見る目が、セクシャリティ寄りで、ずっと嫌だった。どうしてもの距離を覚えてしまっていたからだ。

 それでも加賀さんは、先輩には違いない。何かと、会話の敷居が低く、俺の女性毛嫌いを直してくれた恩は忘れない。



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 それから、半年の年月が流れて、悪友の妙典共同寮同期の田代駿太に誘われては、度々就業後、新宿のテレクラに連れ立つ。駿太は主に人妻派であり、大体俺行って来るわで、そのまま別れる。その後の俺は始発電車迄、テレクラで仮眠待機が大凡。いやヒットするだろうも、話が基本乗らないので、そうそうの会話が長くなれば良い方だ。

 そんなプロクラスの駿太でも、クリティカルヒットしない日もある、そういう時は、新宿近場のお見合いパブに流れる。流れたところで、ぼったくりバーに流れるのが大凡なので、女性主導にさせるなが厳命。


 いつものコマ劇場裏のビルのお見合いパブ:ビーナスに連れ立つと、1時間3000円で入場する。指名のメッセージカードは追加料金で購入。まあお店はギャル系がほぼだ。

 その中に茶髪セミロングのグリーンのショートワンピースで、何か見覚えのある顔があるので、つい飲み直しませんかのメッセージカード。良い所知ってる、外で待ってて。珍しく返事が来たので、駿太来たぞで珍しく勇むと、そのまま外に引き出された。


「一樹、お前は、本気なのか、」

「いや、珍しくヒットしただろう」

「だから、薄暗いだろうが、あのユウキって、加賀雪乃だよ。源氏名使い倒してるだろう」

「ユウキな、いや、嘘だろう。ああ、でも鼻筋の上のあたりが、それっぽい」

「そうだよ、全力でメイクすれば変わるんだよ、女性の印象ってやつは」

「でも駿太は、つい、何故分かるんだよ」

「それは数をこなせばだ。さあ、ネットカフェ行って、始発待つぞぞ」

「でもさ、行くってメッセージ貰ったんだから、行こうぜ。加賀さんの近況とかさ」

「あのな、こんな美味しい鴨、どこにいるんだよ。ぼったくりバーで締め上げられて、夏のボーナス吹っ飛ぶからな」


 そして俺達は、ユウキの約束をすっぽかした。そのままネットカフェに入って、うたた寝をした。

 加賀さん、東京を漂流し続けて何処に行くんだろうか。俺が親身になれば、真っ当な道に戻れるんじゃないか。だからこそ、ぼったくりかもしれないバーでも、お話しようかにもなったかもだ。

 そこは、速攻で駿太に真っ向否定される。裏街道舐めるな、新宿舐めるなだ。二人でじゃないと、夜遊び出来ないだろだ。新宿はそんな物騒な街だ。淡い郷愁すらも、法外な金銭を要求されるらしい。

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