第9話騎士加入後初配信
今日は式町先輩加入後の初配信。
注目度が高い。
今日も優子ちゃん達は上層で配信をするようだ。
「こんにちは。今日も配信をご覧いただきありがとうございます。今日はウェックスで事前告知させていただいた通り、新メンバーが加入します。騎士のトーコです」
”待ってました~”
”こん勇者様~”
”こん賢者様~”
”初めまして~”
「こ……ここ……こんにちは。騎士のトーコです。勇者パーティーに新しく加入しました。よろしくお願いします」
式町先輩、滅茶苦茶緊張してるな。
”きちゃぁぁぁ!!!”
”待ってました~”
”こん騎士様~”
”騎士様も美しい~”
「あ……ありがとうございます。皆様に楽しい配信をお届けできるよう頑張ります」
”騎士様緊張してる?”
”そういうところも可愛い”
「パチパチパチパチ。よろしくお願いします。皆様、慣れない部分もあると思いますが、優しく見守って下さいね」
”当然”
”頑張ってね~”
優子ちゃん達は配信を始めた。
今日はゴブリンを倒すようだ。
RPGで雑魚キャラとして扱われるゴブリンだが、意外に知能が高く侮れない。
式町先輩は前衛だが、優子ちゃんに絶対ゴブリンを近づけさせないという立ち回りで好感が持てる。
”騎士様お強い”
”勇者様に絶対モンスターを近づけないって気持ちが伝わってくる”
新人配信者がゴブリンを侮って、窮地に陥るという事態も珍しくない。
優子ちゃんと倉木さんは初配信で苦い思いをしているので、油断はないだろうし、式町先輩も油断をしているという様子は微塵も感じられなかった。
俺は相変わらず優子ちゃん達が配信している場所と若干離れた場所で配信を始める。
普段、深層ばかりで配信しているのに、連日上層で配信することにリスナー達は怪訝に思っているだろうが、気にしている場合ではない。
優子ちゃん達がピンチになった時のために、スタンバイしていないといけないからだ。
「では、今日も配信を始める。今日は先日のスライムに続いてゴブリンの倒し方を貴様達に分かりやすく教えてやろう」
”こん魔王様~”
”また上層? 魔王様日和ってる?”
”モンスターが怖くなったとか?”
”全然期待していないです”
「貴様達、ふざけるな。貴様達のためにやってるのだぞ」
”期待してないですけどお願いします”
”深層配信見たい”
ゴブリンが俺に向かって来ている。
「丁度ゴブリンが向かって来ている。ゴブリンという奴は狡猾で一人を群れで襲ってくる。そこで一匹ゴブリンの頭を掴んで群れに投げつける。そうすると奴らの隊列が崩れる。そこで群れに向かって魔法で殲滅する。どうだ、簡単だろう?」
”ゴブリン投げてて草”
”意外と奴ら強いぞ。魔王様躊躇なくて草”
”魔法使えない定期”
”ゴブリン投げれない定期”
「そうかそうか、役に立ったか。良かった」
”話聞いてない”
”相変わらずマイペースで草”
当たり前だが、俺がゴブリン如きに遅れを取るわけがない。
優子ちゃん達はというと、危なげなく配信を終了しようとしていた。
「今日もご覧いただきありがとうございました。いかがだったでしたでしょうか?」
”最高”
”成長が見られて良かった”
”騎士様も良かった”
”ほんそれ。初めてとは思えないほど落ち着いてた。戦闘は”
”配信は直ぐ慣れるよ”
「あ……あ……ありがとうございます」
「パチパチパチパチ~」
「トーコが温かく迎えられて良かったです。それではこの辺で配信終了します。お疲れ様でした~。高評価」
「チャンネル登録」
「ウェ……ウェックスのフォローもお願いします」
”今回も無事終われて良かった~”
”よきよき”
”おつ勇者様~”
”おつ賢者様~”
”おつ騎士様~”
今回も無事終われて良かった。
俺も配信終了する。
「貴様ら、そろそろ終了するぞ。では、さらばだ」
”今度は深層配信みたいです”
”今回も全く役に立ちませんでした”
”おつ魔王様~”
三人がダンジョンを出た。
今回も優子ちゃんと目が合ってしまう。
気まずいので目を逸らす。
相変わらず、優子ちゃんは俺のやっていることなど全てお見通しみたいな態度だ。
それもどうでもいい。
優子ちゃんが無事だったのなら。
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