世界はエンターテイメント

ルピナ-Lupina-

序章

喜、怒、哀、楽。

世界には、沢山の生き物が住んでいて、沢山の感情が蠢いている。

『世界の面白さ、君は知らない?』

あの時、君はそういった。

都会特有の、夜の明るさを、君と僕は見下ろす。

喧騒も、そこまで届くことはなかった。

いつからか、堕ちていた僕にとって、この世界は、面白くなかった。

僕は横に首を振った。そして、君はいった。

『面白くないならさ、私と知ろうよ』

そして君は、いろんな顔をした。

全てが可愛かった、愛しかった。

『この世界はね、エンターテイメントなんだよ、君もその1人、私も1人』

楽しそうに、両腕を広げ、くるくると回りながら、君は言った。

『君は強く生きてね』

君は、涙を誤魔化していた。

気づかなかった僕は、大人になった今、君がいなくなった世界で、抜け殻で生きている。

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