女神と呼ばれている学校1の美人姉妹が、何の取り柄もない俺のことが『大好き』すぎて【ヤンデレ】化しました!?

けるたん

第1部 シンデレラボーイは、この『オオカミ少女』を幸せにする義務がある!

プロローグ ある日、森の中『ちっぱい』に出会った……

 俺の通う高校には『双子姫』と呼ばれる美人姉妹がいる。


 ……いきなりこんな頭の悪そうな事を口走って、申し訳ないとは思うのだが、事実なのだから仕方がない。



 姉の名前は古羊芽衣こひつじめい



 妹の名前は古羊こひつじ洋子ようこ



 俺たちの通う県立森実高校において、彼女たちを知らない人間は、まずいないだろう。


 もし知らないという奴がいれば、そいつはホモかモグリに違いない。


 文武両道。容姿端麗。眉目秀麗びもくしゅうれい。偉才秀才、エトセトラ、エトセトラ……。


 太陽の光を一身に受け止めたような、光り輝く亜麻色の髪。


 スラッとしたモデル顔負けのボディに、初雪が降りそそいだかのような白い肌。


 神に選ばれたとしか思えないその容姿に、誰に対しても朗らかな笑みを崩すことがないその姿は、この森実高校においてもはや生きる伝説とさえなっている。


 誰もが羨むパーフェクトな容姿と成績を誇る双子姉妹。


 高嶺の花という言葉があるが、この言葉は彼女たちのためにあるようなもの、とまことしやかにささやかれている女子生徒、それが『双子姫』である。


 一部生徒たちからは、天使の生まれ変わりだとか、この世に蘇った聖母マリアだとも言われているが、真相は定かではない。


 おそらくどちらも正解だろう。


 風の噂では、ひよこクラブならぬ『古羊クラブ』なるものが、男子生徒の間で発足しているらしい。


 この双子姫に手を出したら最後、例え永遠の愛を約束した恋人だろうが、その髪の毛1本に至るまで、必ず瀬戸内海に沈めるという、おとこの誓いならぬイカれた誓いを立てている男子が多数いるらしい。


 そんなサイコパスなヤツらに見つかったら最後、中世の魔女裁判よろしく火あぶり拷問されたあげく、瀬戸内海の魚のエサにされるのが目に見えている。


 まぁ要するに、THE☆人畜無害を地でいく俺、大神士狼とは、縁もゆかりもない女の子たちということだ。


 まさにまったく別の人種。


 生きている次元が違う。


 下手をしたら遺伝子の構造からして違うかもしれない。


 それくらい俺とは縁もゆかりも無い女なのだ。


 おそらくこの先の人生、彼女と関わることはもうないだろうと確信していた。


 それが例え、2年に進級して双子姫の姉の方と同じクラスになったとしても、疑うことはなかった。








 さて、話はごくごく自然に横に逸れるのだが『おっぱい』について話そうと思う。





 ……いや待ってくれ、俺は正常だ。


 とりあえず、その取り出したスマホはしまって欲しい。


 色々と言いたいことはあるだろうが、まずは聞いて欲しい。



 ――おっぱい。



 この僅か4文字が宿す魂の熱量は、一体何なのだろうか?


『何を言っているのか分からない』とか『コイツはバカか?』と思う人がこの場に居るのであれば、試しにスクランブル交差点の中央で、この単語を呟いてみて欲しい。


 おそらく、誰もが一斉に発言者を見やり『コイツ正気か!?』と驚きに満ちた表情を浮かべることだろう。


 それはつまり【おっぱい】というこの単語そのものに、何らかの力があることは明白であり、他の単語には無い『特別なナニか』を宿していると言えるだろう。


 さて、なぜ急に俺が『おっぱい』について熱く語りだしたかと思う?


 答えは簡単。







 ――古羊(姉)がお乳丸出しのまま、俺を殺そうと襲い掛かってきているからだよ☆






「あ、あばばばばばばっ!?!?」

「ぐるるるるるるるるるっ!!」

「逃げてッ! オオカミくん、早く逃げてッ!」



 姉の腰にしがみついていた妹――古羊洋子が、必死の形相で俺に『逃げろ!』と叫んでくる。


 場所は人気の居ない、放課後の雑木林の中。


 そこで俺は、ナイフで制服がズタズタにされて、おっぱい出しの会長閣下(間違いなくAカップ)に、比喩ひゆではなくマジで殴殺おうさつされそうになっていた。


 会長の手には、無駄に鋭く尖った石が握られていて……はっは~ん?


 さては俺、ここで死ぬな?




「ナニをしてるの!? はやく逃げてぇぇぇ~~~っ!」




 俺に向かって泣き叫ぶ、古羊妹。


 そんな妹を尻目に、制服が着崩れ、大変ふわ~お❤ な格好をした古羊姉が、犬歯剥き出しで唸りながら、俺を睨みつけていた。


 そのとき、俺の脳裏に弾けたのは、半ば直感的な感情だった。



 ――死にたくない!



 ソレは理性とか本能とか、全てをかなぐり捨てた、魂の声だった。




「ッ!?」




 気がつくと俺は、推定Aカップが放つ、カタギとは思えない殺気を前に、慌ててその場を逃げ出していた。




「あっ、コラ待ちなさいッ! 待てやゴルァッ!?」

ステイ待て、ステイッ! メイちゃん、ステイッ!」




 荒ぶるお姉さんの声を聞きながら、どうしてこんな事になったのか、俺は必死に記憶を思い返していた。

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