第20話



残る2分

後2kmある道を

淡々と走る僕と邦隆


走り始めた時と比べて邦隆が全体的にスピードが落ちていた


自信に満ち溢れた顔も

悲痛なことになっていた


息を乱しながら下を向いて走って居る国高を僕は見つめた


「....大丈夫か」

「はぁ...はぁはぁ..ふぅ...はぁはぁ」


返事がない

返事ができないほど疲れて居るのだろう

夜桜(探偵)はもう先に公園に着いただろう


邦隆のかおらへんから垂れる物凄い量の汗

さっきまでスクワット500回して居た事が嘘みたいだ....

走るのが苦手なのか...やはり


残り1km

時間は1分を切った


この事を邦隆に伝えると

少しペースが速くなった


「ーーーッッはぁ...はぁはぁ」

「ほっ本当に...大丈夫か?」

「すぅはぁ...はぁ」

「むっ無理するなよ...」

「はぁ...わk...はっはぁ」


このペースで走るとギリギリ公園に着く計算だ...


これを後3周...か

途中で倒れたらどうすれば...良いんだ?

救急車を呼ぶか....責任問題になりそうだから

危なくなったら止めるか..スポーツドリンクくらい後で邦隆に奢るか....



黙々と走り

なんとか邦隆が公園に着いた

公園に着いた瞬間地面に寝っ転がった


「はぁ...つい..はっはぁ...着いた...はぁ」

「ずいぶん遅かったね」

「もっ紅葉...めちゃくちゃ速くなってないか!」

「私もびっくりしたわ...こんな成長するもんかしら」

「いっいやぁ....紅葉だけだと...思うよ」

「はぁ...はぁ...すぅはぁ」


僕は近くにある自動販売機に向かい

ポケットにしまってある財布を取るだし

500円玉を入れスポーツドリンクを買った

お釣りを雑にポケットにしまい

そのまま邦隆の方へ向かい

スポーツドリンクを寝っ転がって居る邦隆にわたした


「はぁ.....はぁはぁ...サンキュー...はぁ」


そう言って

邦隆は立ち上がり

スポーツドリンクのキャップを開け

がぶ飲みした


12秒くらいで飲み干し

10mくらい離れて居るゴミ箱に投げた

見事中に入った


「ふぅ....復活だ....かなりキツかったな...途中倒れそうになったよ...」

「大丈夫...無理するなよ」

「そうよ...無理は体の毒よ」

「お前が言うな」

「俺は速くなりたいしな...最後まで頑張るよ」

「おっ...おう」


倒れても責任は取らないからな

今の言葉全部録音したからな...スマートウォッチで....責任は取らないからな...


「これを後3回だろ...脳筋だな...」

「お前が言うな」

「スクワット以外は無いのか?」

「えぇ....」


スクワット以外で足を鍛えるのって何かあるか?


夜桜(探偵)も変えたいって言って居るし

どうすれば

腹筋...腕立て伏せ...いやだめだ...思いつかない

足を使って鍛える...しかも簡単にできる事....

ジャンプ....ジャンプ1000回とか...


「えっと...1000回ジャンプするとか」

「は?」

「へ?」

「ジャンプだよ...ジャンプ1000回...」

「嘘でしょ....ジャンプってあの」

「うん」

「どうやったらその思想になるのよ」

「おいおい...それって意味あるのか?」

「多分...やらないと分からないよ...」

「初めてやるって事...」

「そうだね」

「1000回って...まさか5分以内に...」

「あっ..あぁ」

「つまり1秒に3回以上はジャンプするんだよ」

「そうだね」

「人間が果たしてできると思う...?」

「分からない...3回でしょ..1秒に...30cmくらいの高さでジャンプしたら...できるんじゃ無い?」

「ものは試しだ...やってみようぜ夜桜さん」

「そうね...」


そう言って邦隆と夜桜(探偵)がお互い2mくらい距離をとった


「えっと...その場でジャンプするから....あまり動かないでやってくれ...」


僕が注意を話し終えたと同時に

2人ともジャンプを始めた


最初の2分間で500回くらいジャンプして居ると言う人間には到底できない事を軽く成し遂げて居た


お互いに息が乱れたり

ジャンプして場所がずれたりして居なかった


ラスト1分くらいになると

夜桜(探偵)が下を向いて呼吸を乱して居た

邦隆は余裕の表情を浮かべながら

呼吸を乱さず淡々とジャンプして居た


最初に20秒くらい速く

邦隆が無事に終わり

5分ギリギリで夜桜(探偵)がジャンプを終えた


「はぁ...はぁ...これ意外と...きつい...」

「夜桜さん...大丈夫か」

「はぁ...はぁ...だっ...大丈夫」


そう言って夜桜さんが近くのベンチに座った


「なぁ...次はまた走るんだろ..隼士」

「あっあぁ...」


腕にかけたスマートウォッチにメッセージが届いた


「すまんちょっと電話が」


組織からか...


僕は夜桜(探偵)が疲れて倒れて居る隙を見て

公園にある公衆トイレに駆け込んだ


ポケットにしまったスマホを取り出し

組織から届いたメッセージを読み込んだ


“1時半に東京池袋第三京葉大学病院に入院して居る内通者を殺せ....コードネームはカンタレラ

本名は白木 鈴森“

人殺しは割りに合わないんだよなぁ...

誰からかの指令によって受けるか受けないか決めるけどな...


えーと

誰からの指令だ...”ハーメルン“か...

最悪だ...上司の上司じゃ無いか

断ったら殺されるな...拒否権が無いと有名な人だし...反発したら腕の1本や2本消えるでお馴染みの...


僕は絶望した顔で公衆トイレから出た

スマートウォッチで今何時か確認した

そろそろ12時か...帰って準備した方が良いな


「遅いな隼士...」

「えーと...ちょっと急用が出来ちゃて」

「まさか」

「そのまさかだ...すまんが今日は此処までだ...明日の放課後に続きという事でいいか?」

「はぁ....別に良いぜ...スポーツドリンク...また奢れよ」

「おっおう...」

「私は最後までやるわ」

「夜桜さん...じゃあ俺もやるか」


僕が公園を出ると同時に

邦隆と夜桜(探偵)が走り出した


僕も自分のアパートに向かって走り出した

僕とは反対方向に走って行った為

蜂会う事はないだろう


ワイヤーフックを内ポケットから取り出し

左手で持った

ワイヤーフックを使って自分の前に飛んでいった


指紋認証のロックを開け

部屋の中に入った

冷蔵庫にある消費期限切れのおにぎりを食べながら

ミッション用スーツに着替えた

スーツのネクタイにミリサイズのマイクを取り付け

サムライエッジ(拳銃)やワイヤーフックなどのアイテムをスーツの中にしまい

いくつか細工を仕込んだ靴を履き

スマートウォッチと連動して居るGPS装置をポケットにしまった


家から出る前に

武器などを隠し

パソコンの機密情報を消した


扉の指紋認証式システムをロックし

夜桜(探偵)に気をつけながら

此処から2km離れた無人地下駐車場へ向かった

ノーストップで走り続けた


赤信号を渡ったり

踏み切りをワイヤーフックを使って渡った

途中お腹が痛くなったが

その事を気にもせずに走った


だいたい59秒くらいで着いた


止めて居る黒いポルシェ930ターボ(車)に乗り

そのまま駐車場から出た

夜桜(探偵)や健吾郎にバレないようにわざわざ離れたところに自分の車を置いた

ミッションまで後2時間ある

此処から東京池袋第三京葉大学病院まで約50kmだ...もちろん高速は使わない...金がかかるから


1速で走っても間に合うため

わざわざスピード違反などを犯さずに済む

のんびりと走るか...


運転しながら僕は

情報局911に連絡した

盗みとかそう言うミッションでは無いため今回は予告状などは出さない...

内通者を始末するだけの作業だ...内通者か

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