最前線
TF
第1話 過酷な現場
急患です!!
仮設テントの幕を豪快に開きながら右足大腿部から爆発に巻き込まれたのか患部からは骨が見えている
甲冑を来た男性が運び込まれる
「止血剤を患部にぶっかけろ!」
私は、飛び込んできた患者にどのような処置をすれば良いのか医療チームに伝える
チームが適切な処置を施している間に現在、見ている患者の手当てを行う。
「装備と布を除去!止血剤投与完了です!」
次の指示を求める荒げた声が聞こえると同時に「患部にショック麻痺!」即座に次の指示を出す。
今診ている患者の折れた腕を強引につなぎ合わせると同時に「治癒班!」
・・・呼んでも返事すら返ってこない、困り者だな、まったく!!
すぐ横で杖をもってぼーっと、突っ立っている、のんびり屋に声をかける「ははははい!」慌てながら返事をする、遅い。
治癒班の仕事は私が呼んだら直ぐ駆けつけるくらいは意識を集中していて欲しい
これだから、貴族様のお嬢様達は使えない。
折れた患部に回復促進効果のある魔術を行使させる。
手に持っている杖さえあれば、子供でも出来る簡単な術だ。
こんな簡単な仕事すらできないのが現場に居るのが本当にイライラする。
「ショック麻痺、レジストされましたー!患部にききません!!」
ああもう!ちらっと見えたけど、やっぱりベテランの人か!
「いいか、よく見ておけ!レジストされるってのは、場所が悪い、こういうタイプはこうやれ」
適切に、患部の神経に針をさし、魔力を通し、痛覚を麻痺させる。
「いででででで」
患者は痛みを訴えるが術式をお構いなしにかけていくとほぼ同時に、素早く、洗浄されている患部に手を突っ込み
駆けた骨を元の形にはめ込んでいく、ふっとんで使い物にならない部分は、代用骨を使う
代用骨を使って、大腿骨を元の形にし、避けた肉を皮膚と同化する特殊繊維でできた糸で塞いでいく
「ったく!耐性を上げ過ぎなんだよ!無意味に対麻痺薬飲んだでしょ?」「つい、条件でな」へへっとベテランは笑っている
どうやら、まだまだ余裕がありそうだ、さすがはベテラン様だ!長生きしてくれよ!
縫合も終わり、患部の血を綺麗な布でふき取ると同時に、手に一瞬だけ炎を纏ませ不浄を払う。
後は、治癒班に体力回復向上と、組織回復向上の術をかけるように伝えるだけだ
「治癒班!」
・・・また返事がない
「治癒班!!!」治癒班がいるであろう方向に視線を向けると、顔が真っ青になっており、頬が膨らんでいる
これだから、貴族様のお嬢様は使えない
「吐くなら外!ここでは絶対に吐くなよ!おい!こいつを外に連れ出して吐かせて来い!!」
チームの一人を捕まえて治癒班のガキを外に連れ出させる、恐らく、先ほどの処置で見慣れないものを見過ぎて
気持ちが悪くなったのだろう、なんで、こんなのを最前線に送ってくるんだよ。ほんっとうに邪魔
「治癒班は手が空いていないか、仕方がない私がやるか」
術式を構築する、私に杖なんて補助道具はいらない、素早く術式を展開し、患部組織を修復させていく
「おい!今のうちに携帯食があるな食っておけ!すぐに現場いきだぞ!!」
ベテランは慌てて袋を取り出し携帯食を口の中に放り込む
「急患です!!」
次から次へと!つぎは!うぉっとと、これはやべぇな即手当しないと死ぬぞあれ
「治癒班、手が空きました変わります!!」
「助かる!!」
テントの中の戦場から、舞台はテントの外へ
口の中がすっぱいものでいっぱいで気持ちが悪いよぅ
「吐くならここに吐いてね」
腕を引っ張られながら連れていかれた場所には、既に色んな人が吐いたのか吐しゃ物らしき匂いが立ち込めている穴があった、
その匂いでさらに、気持ちが悪くなり、我慢が出来なかった
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!!!」
一通り出すものを出した後、予め持たされていた、口を漱ぐ為の液体で口を漱ぐ
ぁぁ、なんでこんな限定的な物を渡すのかと思ってたけど、みんな、吐くからなんだ
含んだ液体がミントの香と、オレンジの味がして、口の中がさっぱりとする。
「終わったなら、気力が回復次第、テントの中に戻りな!、、、別に戻らなくても、誰も、貴女を責めたりはしないわ」
私の腕をここまで引っ張て来てくれた彼女は私の顔色がよくなったのを確認した後、テントの中に戻っていった
ここは匂いがきつくてとてもじゃないが、長くは居たくない、どこかで新鮮な空気が欲しい
足取りが悪く、意識も定まらない為か千鳥足でふらふらと地面に杖を突きさしながら、テントの方に戻っていく
先ほど、足を怪我されていた立派な甲冑の人がもう立って歩いている自身の装備を点検しているようだ
「ん?君は先ほどの」私の視線に気が付いたのか声をかけてくれるっていうか、一瞬で視線に気が付くなんて
やっぱり、最前線にいる人たちは鋭い、、、
「今日がはじめてかい?」装備の点検をしながら声をかけてくれる、優しい人だ。うれしい。今は少しでも気分を紛らせたい。
でも、今声を出すとまた、込み上げてきそう
ゆっくりと頷くと「はは、ってことは、いつもの枠だろうな、大変だろうけれど、お家の為にも頑張り給え」
そう。この国は最前線で戦うために人手が常に足りない、私の様な家柄は最前線で戦っている功績が必要で、
魔力さえ流すことが出来れば、だれでも出来る治癒班に配属される。
治癒班は、比較的安全圏で作業するので、非常に安全ではあるが、ここは最前線である為
命の保証はない、それに、運ばれてくる人たちが途切れることが無いうえに、重症な方が多い、それ故に
籠の鳥達はみんなここで私と同じような状況に陥る。
話には聞いていたけれど、ここまで酷いとは思ってなかった
どうりで、これが終わった後のお姉さまたちは肝が据わるわけだ。。。。帰りたい。。。。ぱぱ、まま、たすけてぇぇ、、、
「では、私は前線に戻るよ!」装備の点検が終わった気遣いのナイト様は移動術式が施されているテントに入っていった
あんな大けがをして、痛い思いをして、どうして直ぐに戻ろうと思えるんだろう、国に人質でもとられてるのかな?
それとも、借金だらけとか?ぁぁ、やだやだ、なんでこんな思いしないといけないんだろう、早く帰りたい。
救護テントの裏で、はしたないけれど、土の上にぺたんと座って俯いているとテントの中から
叫び声が聞こえる、ぁぁ、やだやだ戻りたくない戻りたくない、やだよもう、帰りたいよぉ、助けてぇぱぱ、ままぁ
暫く、俯いていると大きな声が聞こえる「伝令!現地点が敵に露見した可能性あり!移動求む!」
ぇぇ!?うそ!?敵に見つかったの!?防衛班は何してんのよぅ!役立たず!!!ちゃんと幻覚術式最大限に使ってよ!!
ため息をついていると「あんた何してんの!?準備は出来てるの!?」先ほど、私の腕を引っ張っていった人がなんか叫んでる
うるさいなぁ、眉間に皺を寄せていると、がばっと先ほどと同じように私の腕をつかみ、強制的に立たされる。
「ほら急いで自分の荷物もってきて!私はやる事があるからあんたの重りなんてしてらんないのよ!」
荷物を置いてあるテントに私を追いやると、私が先ほど吐いた場所に走っていく
なんだ、偉そうにしときながら、貴女も気分が悪かったのね、情けないこと、オホホ
荷物テントから自身の荷物を手に取り、移動術式のあるテントに向かっていくと、先ほどの人がもう戻ってきていた
あら、お早いお戻りなことで誰にも聞こえないくらいポツリと呟くと同時に私は術式で安全圏に飛ばしてもらう
汚い現場を横目に私は優雅に帰還する、やっと帰れるという安堵感に満たされながら、晴れ晴れとした足取りで帰還する!日常に!
テントの中に残された患者の処置を全て終え、救護テントから外に出て、状況を目視で確認していると、
チームの一人が自身の荷物を持ちながらテントに戻ってきた、先ほど、撤退手順を任せてしまった彼女だ
本来であれば、撤退手順要因ではない彼女に緊急撤退を任せてしまった、職権乱用はよくないことだ。
そんな彼女にねぎらいの声をかける「すまない!後退手順を任せてしまって!」
「いえ!頼っていただき光栄です!!」元気に返事を返してくれるが
あそこの汚物エリアの隠蔽作業は非常に堪える、申し訳ないことをした、休みに入ったら、何か差し入れでもしてあげないとな。
テントを迅速に片づけ、次々と移動術式でホームへと帰還するチームを見ながら、遠目の術式で
前線を見るが、確かに、ここが露見している、明らかにこっちに向かってくる一団が見える。しかも、足の速いやつらばかりだ。
今後は、場所を変えないといけなくなるな、当分このエリアは使えそうもない、どこの馬鹿がやらかしたのやら、
姫様が作りたもうた幻覚術式がそうそう、看破されるとは思えない。だが、もしもってこともある、姫様には申し訳ないが
新しい幻覚術式を採用してもらわねばなるまい。
また、姫様の寝る時間が減るな、やらかしたやつは晒し首にされても文句はいえんぞ、、、、
出来るだけ弁明してやらないといけないな、はぁ、また仕事が増えるのか、、、いかんいかん、気分を落としてどうする!
次の現場に急いで移動しないとな、だが、その前にやられるだけってのは癪に障るというやつだ!!
「おい!土系統の術式が扱えるやつで余力のあるやつはいるか!または、術式は扱えないが魔力に余裕のあるやつは?」
数人が手を挙げてくれた、根性のあるやつがいるようだな!大好きだぞ!戻ったら全員に良い肉でも食わせてやらんとな!!
幻覚術式をわざと見破らせ罠に誘い込んだと思わせれるほどの力作を作りこんでいく思いつく限りの罠を現地に設置し、
私以外のメンバーを移動術式で非難させ、私は単独で敵を出迎える、さすがに囮がいないのではな、せっかくこさえた罠が
不発に終わるのもまた、忍びなし!!撤退術式は臨界状態でスタンバイ!いつでも高跳びできるようにし、ありったけの手持ちの攻撃札を起動!
最小限の魔力で敵を攻撃しまくる!炎に、水弾に、音撃!!独りでやってるとは悟らせない手数!!!
だが、所詮は最小限の威嚇用攻撃!敵にダメージは、期待は出来そうにないご様子!かまわん!本命は地下だからな!
こんだけ弱い攻撃の数々なら、ザコ共が群れていると勘違いして馬鹿正直に突っ込んでくるだろうなあいつらは基本的に低能で馬鹿だからな!
私の攻撃に煽られて顔面真っ赤なごみ共が真っすぐにこちらに向かってくる、やはり、知能は低そうだ、、、
どうして、こんな低能共に我々は勝てないのか、歯がゆいものだな物量の差というのは
敵が仕込んだ罠のエリアに入るの同時に移動術式を起動し、私が離れた瞬間に轟音が当たり一面に響き渡る。
移動術式で移動した先でもその轟音が聞こえていたのか、チームのメンバーは各々「ざまぁみろ!」「滅べ!」「いよっしゃぁ!」と
歓喜の声を上げていた。
突発的ではあるが、罠に嵌めれたことにより、幻覚術式の先には罠がある可能性がってのを敵に植え付けれたら良いのだが
たぶん、植え付けたとしても突撃してくる予感しかしない、敵の知能が低すぎる、いったい、我々の倒すべき敵の総本山は
どうなっているのだ?どうして、あそこまで数多くの物量と質量をキープできているのか?謎だらけだ、、、
移動先でも既に、救護テントの準備は出来ており、既に新しい患者が運び込まれているご様子だ。
ふう、と小さな溜息を空虚な世界に吐き捨てた後、カバンから新しい救護服と、栄養剤を出し、即座に栄養を摂取する。
今日も長い一日になりそうだ。
救護テントの入口で思考が停止している小娘を横目に私は、私の戦場に戻っていく。
終わりなき闘争の日々、研鑽されていく、人体の解体術と組織再生方法、今度出す私の本は飛ぶように売れるだろうな
はは、また、私財がふえてこまるなぁ、、、はは、は、、、、
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