腐れた南瓜

@Marks_Lee

第1話



ハロウィン、あるいはハロウィーン(英: Halloween または Hallowe'en、愛: Oíche Shamhna)は、 毎年10月31日に行われる夜の祭りである。 カボチャやカブをくりぬいて作る「ジャック・オー・ランタン」(Jack o'lantern)を飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などがある。【Wikipedia参照】


何がハロウィンだ。大の大人が仮装なんかして馬鹿騒ぎの乱痴気騒ぎ。


いつからこんなイベントが日本で蔓延るようになったのだろう。


嬉々としてニュースに取り上げる奴らの底が知れるし、見ていて面白いというものでもなかった。

そんなことをうだうだと考えていると、玄関のチャイムの音が部屋に鳴り響く。


「宅配便かな……はーい、ちょっと待ってくださーいっと」


玄関の扉を開け、見渡してみるが誰もいない。


「トリックオアトリートー」


気だるげな幼い声が耳元で聞こえてきた。その声が聞こえた方へ顔を向けると、黒いローブを羽織り、明るい橙色のかぼちゃを被った子供がいた。年齢は幼稚園ぐらいだろうか。


「お菓子をくださいこのやろう」


「誰がこのやろうだ……お菓子なんてねぇぞ。あるのは酒のつまみだけだ」


「ではそれで」


「そう言ったってな……マジで乾き物しかないんだよ。ほら……」


俺は、そのガキに今部屋にあるめぼしいものを見せた。


「じゃあ買い物に行きましょう」


「億劫だな……」


「そう言わずに。おてて繋いであげますから」


「……これ、お前の親なんかに見つかったら俺は児童誘拐の現行犯になるんだが?」


「大丈夫ですよ」


女の子はケラケラと笑いながら答えた。


「私に親なんていませんから」


◇◇◇


「近所のスーパーでいいか?」


「どこでもいいですよ。あなたについていきます」


「わかった」


今日さっき知り合ったガキと、手を繋ぎながらスーパーへ向かう。もしこの状況、知ってる顔見知りに見つかったら危うく変な噂が立ちかねない。


しばらく二人で歩いていくと、場末の小さなスーパーが見えてきた。そこは、萎びたスーパーで大手のスーパーと比べると、品数と価格では負けるが、地元密着感のあるスーパーだった。


「そういや……そのかぼちゃのお面外さないのか?」


「ええこれは外さないというか外せないのですよ」


「何か事情が?」


「事情というよりも……単純にはずかしいのです」


「なんだそりゃ」


「人様にお見せするような顔でもありませんし……それに実際私の姿が見えている人がどれだけいるのかもわかりません」


「……と、いうことはお前は幽霊なのか?」


「似たようなものとだけ……こんな話を聞いてもあなたは怖がらないのですね」


「……いいや。怖いさ。お化けも怖いが人間の方が怖い」


「それもそうですね」


◇◇◇


買い物を済ませ、二人?で家に帰ろうとしていると後ろから肩を叩かれた。


こんなことをする人は一人しか心当たりがない。振り返ると、そこには筋骨隆々のスキンヘッド。前掛けをかけ、買い物終わりなのだろう。生成りのバッグには食材が見える。


「あ〜ら〜、こんなところで会うなんて〜!!!店長びっくり!!!」


「びっくりするのはこっちですよ。店長こそ、どうしたんです?いつも使うスーパーとは違いますけど」


「たまーにこっちのスーパーを使っているのよ。あら?まぁまぁまぁ……あんた……女日照りだからってこんな小さな子に手を出して」


「違いますよ!!!……というか店長、この子見えるんですか?」


「見えるも何も……ここにいるじゃない?見えるってどういうこと?」


「それは後々話します。とりあえず店のほうに行って話しましょう。ここじゃ、悪目立ちがすぎる」


「それもそうね……とりあえずうちの店に行くわよ」

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