十九の神話 リース

サヤ「家族…そうだよね。喜んでもらって嬉しい!」




ハデス「うん、その意気だよ。出産までは辛いだろうけど…僕たちもサポートするからね。」




サヤ「ハデスと皆がいてくれれば大丈夫だよ!きっと乗り越えられる…」




三ヶ月後…




神の出産は人間の出産と変わらない。つわりもあれば、出産時の痛みも伴う。




サヤ「はぁ…苦し…おぇっ…」




嘔吐するサヤの背中をさする。




ハデス「つわりが始まったか…サヤ、大丈夫。僕がいるからね…」




サヤ「う…ん…」




数時間後…




サヤ「ちょっと収まった…もう大丈夫…」




よろよろとソファーに座り込む。




ハデス「無理しちゃダメだよ。これからは食べられるものを食べていこうね。使用人たちにも言っておく。」




サヤ「うん…ありがとう…」




食事の時にもサヤの吐き気が起こってしまうため、部屋に体に良いものを運んでもらうことにした。




サヤ「ごめんなさい…手を煩わせちゃって…」




使用人「とんでもございません!サヤ様とハデス様の子を皆が楽しみにしておられますよ。産まれたら皆で可愛がらせてくださいね!」




サヤ「もちろんです…!ありがとう。」




ハデス「サヤ、散歩に行く?日光と外の空気を吸わないと体に毒だ。」




サヤ「うん。ちょっと歩こうかな…」




お腹は少しポッコリしてきており、妊娠しているのは一目瞭然だ。




サヤ「ディーテはどうだろう…メール送ってみる。」




サヤ【ディーテ、つわり大丈夫?もしよかったら散歩しない?】




アフロディーテ【ちょうど収まったところよ。散歩…いいわね!行きましょ】




すぐに返信が帰ってきた。




サヤ「ディーテも行くって。四人になるけどいい?」




ハデス「もちろんだよ。妊娠仲間は大切だからね。」




四人で散歩へ行くことになり、ベンチで待ち合わせをする。




サヤ「ディーテたちの方が先に産まれるかなぁ?」




ハデス「そうかもしれないね。あ、来たみたいだよ?」




アフロディーテ「こんにちは、サヤ、ハデスさん!」




ヘラクレス「うちは三ヶ月半だぜ!サヤはどうだ?つわり大丈夫か?」




サヤ「私は三ヶ月で…つわりは吐き気がすごいかな…」




アフロディーテ「私もそうなの…今は調子いいんだけどね。食べれるものに限りが出ちゃったりとか…」




サヤ「やっぱりそうなるのか…お互い頑張ろ!」




アフロディーテとグータッチする。




ハデス「じゃあ少し歩こうか。お二人さん、無理しないでね。」




早速四人で歩き始める。




マスコミについては全てを話した(ハデスが威圧した)ため追及は免れた。




サヤ「日光浴びないと…この子達に良くないもんね!」




アフロディーテ「そうね…出られる時はこうやって一緒に散歩しましょ?」




ヘラクレス「ヘルザのために!いい感じだな。」




ハデス「名前、もう決めたのかい?」




アフロディーテ「うふふ…実はサヤが決めたのよ。私たちとおんなじ名前提案するもんだからびっくりしたわ!」




ハデス「僕らの子供はどうする?サヤ。」




サヤ「考えてるんだけど…浮かばないの。」




ハデス「僕もそうなんだ…いまいちいい名前が出てこなくて。」




アフロディーテ「二人の子供なんだからたくましく育つわよ!名前は今度ゆっくり話し合って決めたら?」




サヤ「そうする。ディーテ、ヘラクレス、散歩付き合ってくれてありがとう。また行こうね!」




三十分ほど歩いたところで、四人は散歩を終わりにした。




ヘラクレス「次に会うとき、もう産まれてたりしてな!ハハ!」




ハデス「そのときはうちの子ともよろしく頼むよ。またね。」




それぞれ家に帰って行く。




サヤ「ディーテたちの方が先に産まれそうだね。名前…どうしよっか?」




ハデス「今思い付いたんだけど…リースはどう?」




サヤ「それは何故?」




ハデス「ふと思っただけだよ。ただの提案だから気にしないで。」




サヤ「ううん。リース…いいと思うな!仮でもいいからリースにしよう?」




ハデス「気に入ってくれたようで何よりだよ。君はどうだい?リース…」




お腹にいるリースに話しかける。



ポコッ



リースがお腹の中で動いた。




サヤ「動いた!!リースも返事してる…!」




優しく微笑むサヤにハデスも笑顔になる。




ハデス「リース、これからよろしくね。」

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