十三の神話 新曲
二人が起きてから一時間ぐらいたったころ…
サヤ「じゃあ行ってくるからね。裏方忙しいから会えないと思うけど…」
ハデス「うん…寂しいけどしょうがないよね。仕事だもの。」
サヤ「ちょっと罪悪感ある言い方するのやめて…行ってくる!」
サヤは小走りで冥界を後にした…
ハデス「行っちゃった…僕は僕でライブ楽しまないとね。サヤがいないとこんなに寂しい…ずっと家で一緒にいたい…」
束縛が強いハデスだが、自身は気づいていないようす…
サヤ「ディーテ!ヘラクレス!お待たせ。準備しよ!」
ヘラクレス「おせーぞサヤ!来ないかと思ったぜ。」
そういいサヤの背中を叩く。
サヤ「痛ぁ!?悪かったって!あ、そういえば俺彼氏できたから。」
アフロディーテ「え…!?誰よ誰よ教えなさい!」
サヤ「ん…ハデス…」
その瞬間、アフロディーテとヘラクレスがハイタッチした。
アフロディーテ「やったじゃない!サヤの恋うまくいってほしかったの…!」
ヘラクレス「二人して応援してたんだぜ?今日は飲み会だな!」
サヤ「あ、でも許してくれっかなぁ…アウトかもしれん。」
アフロディーテ「あら、溺愛されてるじゃないのよう!」
三人は話しながらライブの準備を始めた…
サヤ「おし、行くぞおめぇらぁ!」
ヘラクレス・アフロディーテ「押忍!」
ロット「やーやー調子ノってるかファンのみんなぁ!?」
ファン「イェェェェエエイ!!」
いつにも増して大歓声がする。
ロット「今回はお知らせつきだぜぇ!近日新曲発表だぁ!!」
ファン「ウオオォオオオ!!」
「まじで!?新曲かぁ!どんな新曲なんすかぁ!?」
ロット「いいこと聞いてくれたねぇ!まさかの静か系だ!」
ファン「えぇぇええぇ!?」
ロット「ほら、俺って自分で言うのなんだが声がいいだろ?だから合うんじゃねぇかと思ってな!」
ニシシと笑うロットにファンは盛り上がる。
「絶対合うよね!私前に言ったやん!」
ロット「そうそう。ファンのみんなの声を聞いたら案外静か系いいっつーとのことだったから決めたんだ!」
ロット「じゃあ告知は終わりだ!ライブを楽しんでくれよな!」
エキサイティングなエレキギターの音、心臓に響くドラムの重低音。
そして響きわたるドスがきいているが美しい声。
これこそがバッドゴッドの人気の秘訣だ。
三人の仲の良さが伺える一体感。まさに最高だ。
その会場にはもちろんハデスもいた。
ハデス「相変わらずの声…綺麗だなぁ…」
まさかサヤだとは思っていない…はず。
ハデス「どこかの誰かさんと話し方似てるんだよなぁ…勘違いかな…」
メイクも施しウィッグも被っているため判断はできていないが、疑っているようだった…
ライブ終了後…
サヤ「あー…疲れた…新曲静か系だけどどんな感じにする?」
ヘラクレス「歌うのはサヤだから作詞はお願いしなきゃだよな。俺たちがそれにあわせて演奏するって感じ?」
アフロディーテ「そうねぇ…それしか無いわ…ごめんねサヤ…お願いする。」
サヤ「いいんだよ?作詞好きだし。てかハデスにバレるのも時間の問題だな…隠しとおせる自信ないわ。」
アフロディーテ「信頼できる彼氏ならいいんじゃない?それにファンだし。」
ヘラクレス「うんうん…そう思うけどな。」
サヤ「そうだよなー…今度話しとくわ。」
そういって三人は解散した。
サヤ「あ、そうだ家冥界だった…実家に帰るとこだったわ…」
ハデス「帰っても連れ戻すから大丈夫だよ?」
サヤ「あ、ハデス…ライブどうだった?」
ハデス「うん…すごく良かったよ。新曲発表には驚いたけど楽しみ。」
サヤ「そっか。ならよかった。えと…その…言いたい事があって…」
ハデス「どうしたの?なんでも言ってごらん…」
サヤ「私…私…ごめん。やっぱり今は言えない…言う勇気がない…ごめん…」
ハデス「言いたい時になったらでいいよ。ゆっくりでいいからね。」
ハデス(どうしたんだろ…?聞き出すのも悪いし…待つしかないか。」
サヤ「その代わりに今日寝るとき子守唄歌うよ。私歌うまいの!」
あまりにも自信満々でいうためハデスは笑った。
ハデス「ふふ…君は変なところに自信があるよねぇ…好きだよ。」
サヤ「??私もだよ…」
ハデス「さ、家に帰ろう。子守唄が楽しみだからね。」
二人は家へと帰った…
ハデス「今日もお風呂一緒に入る?入ろうか。」
サヤ「有無を言わさないのやめて…いいけど…」
ハデス「拒めないのがサヤのかわいいところだよ…」
二人がお風呂で存分にイチャイチャしたあと…
ベッドに向かいハデスがサヤに膝枕される形で子守唄を聞くことにした。
サヤ「う、歌うよ?」
ハデス「うん。早く早く…」
サヤ「…彗星が煌めくとき…あなたの願いもきっと叶う…願いが叶ったなら…私に教えてくださいな…そうしたら私の膝においで…彗星の独り言を話してあげる…彗星はあなたを見ていたと…」
ハデス「……………」
ハデスはあまりにも心地よい子守唄に眠ってしまった…
サヤ「うふふ…おやすみなさい…ハデス…」
ハデスの寝顔をまじまじと見る機会などないので、ここぞとばかりにサヤは寝顔を堪能する。
サヤ「キス…したいな…やだ、私ったら…」
ハデス「たまにはサヤからしてもいいんだよ?」
目を瞑ったままハデスは微笑む。
サヤ「ちょちょ…いつから起きてたの?」
ハデス「子守唄を聞き終わって…少し寝て…その後から。で、キスは?」
サヤ「うー…ハデスずるい…そうやって私を試す…!」
サヤからキスをしたことはまだない。サヤが恥ずかしがってしてくれないからである。
サヤ「…目瞑っててね?」
そっとハデスに顔を近づけ…キスをした。
ハデス「はい。満足です。今日は寝ましょうか?」
サヤ「……寝る!」
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