とある都市伝説
狐の御面@狐先生
B4の秘密
都内の高層ビル、グランドタワー。新入社員の佐藤は、初めての残業を終え、疲れた体を引きずりながらエレベーターに乗り込んだ。エレベーターのボタンを見ると、普段はない「B4」のボタンが光っていた。先輩からの話を思い出し、興味本位でボタンを押した。
エレベーターは静かに「B4」へと降下していった。扉が開くと、真っ暗な空間の中に、白いドレスを着た女性が立っていた。彼女は涙を流しながら佐藤を見つめていた。
「あなた...彼に似ている...」
彼女は、かつてこのビルで事故に遭い、命を失ったと語った。彼女の名前は美咲。美咲は、事故の前日に購入したプレゼントを、当時の彼氏に渡せなかった。その未練から、彼女の魂は「B4」に留まっていた。
佐藤は、美咲の話を静かに聞き、彼女から受け取った遺品、小さな銀のペンダントを大切に握った。美咲は、佐藤に感謝の言葉を述べ、やがて光の中に消えていった。
翌日、佐藤は美咲の彼氏だった男性と共に美咲の墓を訪れ、ペンダントを供えた。彼は、美咲の死後も彼女を探し続けていたと語った。佐藤は彼に、美咲との不思議な出会いと彼女の遺品について話した。
その夜、佐藤はビルの屋上で、都市の灯りを眺めていた。この出来事は、彼の心に深く刻まれ、忘れることはないだろうと思った。
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