第6話 作戦会議(4月9日日曜日夜)
「うわぁ結構黒ずんで
自室に戻り鏡の前でシャツを脱ぎつねられた箇所を見ると、5センチ位赤黒くなっていた。
色白だから余計に目立った。あの馬鹿力
念のため他の場所もチェックしたけど、特に問題はなかった。
うん、いつもの真っ白でなよっとした体だ。
*
でもどうして
おかげで母に会わせる事になった。
鏡を見ながらため息をつく。
まだ役者に未練があるとか
そんなわけないはず。
もう限界だった
これ以上続けることは
いくら母に似て見た目が良くても
僕には大きな欠点があった
致命的に台詞が覚えられない。
いやまじで無理
覚えられない。
みんなアンキパン使うから大丈夫なんだ。
ねえそれどこで買えるの?
ぼくがいつ見ても売り切れなんだよ
本番になるとで頭が真っ白になった。
すべてアドリブで乗り切った。
小さい頃はそれでも良かった。
「ゆーちゃん、次までは覚えようね、あとカンペ使ってもいいから」
「・・・はい。すみません」
いつまでもそれは通用しなかった。当然のことだ
子役でも僕はプロ。
だから子役卒業と同時に引退した。
きっと今じゃ知っている人もいない。そんな昔の話。
*
とにかく、元カノより先に高橋さんに会おう。
つじつま合わせないと。
大丈夫、こんな田舎で女優なりたい人なんていない。いるはずない。
「ははは きっと大丈夫」
気分を良くした僕は、スマホでお気に入りのゲームに大金を注ぎ込んだ。
「今なら勝てる!」
きっといいキャラが出る!
その日ぼくはこっそりと泣いた。
枕を濡らして。
『もうガチャなんてやらない』
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