少年少女東方録〜え、幻想郷‼︎ 生きられるなら何だってやります。〜

朱松 凪(天凪 詩露灼)

一章 始まりはここから

幻想入り

ピィー ピィー ピィー …………

白いいつもと変わらない天井を見つめる僕と、一定の間隔で刻んでいる機械。

ここは、とある病院の病棟の一角のなんも変哲もない個室だ。

僕は、生まれてこの方病弱で、山というものを映像でしか見たことがない。

後、湖も。

そんな体の為、医者からもちろんのような余命宣告をされた。

半年前に余命宣告されてから時が過ぎ去って残り、一週間。

(誰でもいい。僕の命を救ってぇぇぇeee…………)

ピィー ピィー ピィー ピィー ピィーィィィィイイィ…………


気が付くと、真っ黒な空間で座っていた。所々に目があり、こっちを見ていた。

「気が付いたようね。」後ろから女性の声がした。

後ろを振り返ると、見知らぬ高身長の女性がたっていた。

「貴方は、誰ですか。」と、警戒をしたがあまり体が思うように動かない。

「そんなに、警戒しなくていいわよ。私は、八雲やくも ゆかり。早速だけど、貴方を幻想郷げんそうきょうに連れて行くわ。」

「そこって何処ですか。危険な所ですか?」

「そうね、危険っていえば危険といえるわね。」と、何食わぬ顔で言った。

「残念ですが、それは無理です。」と、丁寧にお断りしようとした。

「あら、残念。出口はそこよ。」空間に穴が開いた。そこから光から差し込んでいた。

僕は、出口に向かって歩きだした。

「あ、そういえば言い忘れてたけど、貴方もう既に死んでいるわよ。あっちで。」

(そういう事か、体の自由が利かない理由は。)

僕は、覚悟を決め、紫さんの方を見て言った。

「少しでも長く生きていられる事に越したことはない。行くよ。」

「いい判断ね。それにあたって貴方に異変解決を手伝ってくれない?」

「分かりました。ただ、丸腰の僕ですよ。」

「その点に関しては、大丈夫。今から、種族と能力を決めてもらうわね。」

「種族は、そうですね。吸血鬼をお願いします。」

「え、えぇ良いわよ。」と、多少困惑していた。同族でもいるのかな。

「能力は、どうするの? 程度能力なんだけど。」

なるほど、曖昧やな。

「能力は、スキルを創造し扱う程度の能力でお願いします。名前は、【著書のスキルノート】|。」

「スキルって何。まぁいいわ。貴方の想像通りの能力にするわ。」

そういうと、立っていた場所に先ほどの穴が開いた。

「では、いってらっしゃい!」そう言って笑顔で落とした。


「うー、体が冷える。ここはどこだ。」

辺りを見回すと、ススキが一面に広がっていた。今日は綺麗な月が出ていた。

ここが安全かどうかは、ここがどこか、という疑問より理解が早かった。

だって、近くに見かけた少女が、人を喰ったからだ。彼女に気づかれないように隠れたが、

「お兄さんは、外の世界から来た人?」気づかれていたようだ。

僕は、姿を現し彼女の目の前に立った。

「そうだよ。外の世界から来た人だよ。まぁ、人って言っても吸血鬼だけどね。」

「じゃあ、食べてもいいんだな。」そう言って僕の腕を掴んだ。

振りほどこうとしたが、その体のどこに筋力があるのかは知らないが、ビクともしない。

「いただきます。」そう言って噛みつこうとした。

僕はとっさに能力を発動させた。

「【硬化】。」その文字を書いて叫んだ。

「痛い、硬っ。」能力が発動したのか。体全身が硬化した。

弾かれた少女は、僕を睨み、そして距離をとった。

「お兄さん強いのだ。こうなったら、【月符:ムーンライトレイ】。」

そう少女が叫んだ瞬間、少女の全方位にエネルギー弾と僕を挟むようにレーザーが出現し左右から迫ってきた。

(これに当たったら僕の選んだ種族だとしてもイチコロだな。逃げ場はないな。なら、前にあれを打ち込むか‼)僕は前方に両手を向け、能力を使った。

「硬化しても、無駄だよ。」やっぱり油断しているな。

「目には目を、歯には歯を、レーザーにはレーザーだ。使わせてもらうよ。【加粒子砲ラミエル】」

両手の中には五芒星の形をした青く光るモノを出現させ、

赤い色をした膨大なエネルギービームを発射させた。

このビームに対応できずにいた少女に直撃した。少女は、白目を向き後ろに倒れた。

(やべ、ついやっちまった。どんなもの貫くビームを防衛本能で撃ってしまった。死んでないよな。)こんな所で、殺人なんて起こしたくない。

急いで少女に近づいて、【ヒール】を使った。少女の体の目立った外傷はなくなり、まもなく気が付いた。

「すんませんでした。腹が減っていたから食べようとしたのだ。」僕に謝ってきた。

「食べるって、人間を。あんなの不味いよ。」疑問に思っていた事を素直に聞くと。

「私は、人食い妖怪なのだ。」と、自信満々に言った。これが、危険な要因か。

「とりあえず、君、幻想郷とやらを案内してくれませんか。」

「君じゃないのだ。ルーミアなのだ。いいのだ。」

「分かった。ルーミアさんお願い。」丁寧に頼むと。

「友達なのだ。これぐらい余裕なのだ。所で、お兄さん浮遊できるのか?」

「お兄さんではない。そらだ、よろしく。もちろん浮遊みたいな事はできるよ。」

そう言って、魔法陣を展開した。

「【月路エアーウォーク】」僕が足を降ろした所に、魔法陣が出現するスキルだ。

「す、すごいのだ、空は。まずは、博麗はくれい神社に案内するのだ。」

そう言うと、僕と一緒に、博麗神社を目指した。



≪🌸少年少女移動中🌸≫



しばらくすると、赤い鳥居が見えてきた。

紫さん曰く、そこにはグータラ巫女と、居候の男神が住んでいるらしい。

「神社が見えてきたのだ。降りるのだ。」そう言って二人は空中から降りた。

「霊夢いるのかー。いるなら返事をしてくれなのだ。」

そう言った瞬間、頭を掻きながら巫女服を着た少女が出てきた。

あれが、たぶん紫さんの言っていた例のグータラ巫女だろう。

「ルーミアじゃない。どうしたの?」と、ルーミアの方を見た。

「空を案内していたのだ。」と、また自信満々に言った。

「そう、って誰?新しい幻想入りの人?見るからにやばそうだよ。」

「誰が、やばそうだって。」僕は、少し怒りを覚えた。

そう言うと、霊夢と呼ばれた少女は素直に謝り戦闘態勢に入った。

「ちょ、ちょっと待つのだ。私が空にちょっかいを掛けたのだ。」ルーミアは慌てていた。

「そうなの。でも、一応確かめないといけないの。博麗の巫女として。」

一向に態勢を崩さない。これは、どうやら、やるしかないようだ。

「分かった、やるよ。だけど、一つだけ忠告しておくよ。僕に手札を理解させちゃいけないよ。」と、薄気味悪い笑みを浮かべて言った。

「忠告ありがとう。でも、その前に終わってしまうかも。」

二人とも、戦闘態勢に入り風が吹き止んだ、瞬間。二人の足が、地面から離れた。

「【霊符:夢想封印】」色とりどりの大き目なエネルギー弾が、僕目掛けて次々と飛んできた。

(これも、当たったらお陀仏だな。これは、さっき理解したモノを使うか。)

「霊夢だっけ、忠告を聞いとけばよかったのに。【月符:ムーンライトレイ】。」

そう、ルーミアの力だ。先の戦闘で理解できたから扱える。

「う、うそなんで?それ、ルーミアのスペルカードが使えるの⁉」

非常に驚いてるようだ。ルーミアは、驚いて声も出ていないようだが。

そう、僕の能力は、体験したモノ 理解したモノ 見たモノを再現、再構築し扱う程度の能力だ。さらに、理解したモノ つまり、自分の創造し、スキルとして扱うこともできる。攻撃または防御力に優れ、非常に汎用性の高い能力だ。

「ふん、使えても対策はできてるのよ。」と、霊夢は自信満々にエネルギー弾を避け始めた。

「やっぱ、大したこともない。って弾幕多すぎ。」

徐々に攻撃が当たり始めた。避けるのがきつくなったのか。

「【夢符:二重結界】この、結界は誰も破れない。」

霊夢を囲むように、赤い結界が出現した。

(結界か、破るのは、面倒だな。ここは、体が弱かったから使えなかったアレにするか。)

「霊夢。悪いけど破らせてもらうよ。【金剛力士ダイヤモンド】」

僕の拳が、ダイヤモンドのように固くなりラッシュをし始めた。

「そんなもんじゃ、壊せないわよ、って、あれ~。」

カンカンカンカンピキピキバキバキバキーン。二重結界が壊れた。

「この至近距離じゃ、避けれない。喰らえ【加粒子砲ラミエル】」

威力弱めだけど、直撃すると大怪我する威力で発射した。霊夢は、直撃しながら回避した。

「痛い、これはやばいわね。【夢想天生】」ビームが、当たらなくなった。

その上、弾幕とやらが八つ絶えず飛んできた。

「空、もう勝ち目ないのだ。あきらめるのだ。」と、ルーミアは心配そうに言った。

(確かに、勝ち目ないな。攻撃が当たらない系か。)

僕は考えた。昔、とある奴を討伐した時に使った技を使っていいものなのか。

(迷っている暇は、もうなさそうだな。) 覚悟を決めた僕は宣言した。

「【千楼:はかなき世界ラストワールド】」


霊夢視点:

【夢想天生】は、幻想郷の皆が認める無敵のスペルカード。

何処ぞの幻想入りに負けるわけにはいかない。亡くなった母の自慢の子として、

博麗の巫女として。

なのに、なんで馬鹿な突破される事なんて許されない。これが紫の与えた能力?

いや、紫でもこんなの承認しない。って事は前の世界から持っていた能力!!

あ~それにしても綺麗だな~。


ルーミア視点:

私は見ていた。空が、能力を発動させた時、空の手に刀が現れて、半円を描くように空間を切って、霊夢を引き寄せ、その刀で目にも止まらない速さで切り刻んだのだ。

私が、喧嘩を吹っ掛けたときは、まだ全然力を発揮してなかったのだ。

足がすくんだのだ。だって、空の顔が笑っていたのだ。

一時間後…………

体が、痛い。あれ何で私布団にはいっているんだ。

上半身を布団から起こすと、隣からルーミアの声がした。

「霊夢が起きたのだ、大丈夫なのか。」と、元気な声で聞いてきた。

「大丈夫よ。ところで、なんで私布団に入っているの?」

「私が入れたのだ―。空の指示なのだ。」

あの、さっきの人が私を気遣ったのだろう。

「ルーミア、空は。」と、尋ねると。

「空は、石畳の掃除と、雑草抜き 地形修復 そして今、霊夢の為にリンゴを切っているのだ。」

空は、強かった。でも、最後の攻撃は優しかった。

もしかしたら、誰かを守る強さなのかもしれない。そう私は思ったところで、空がリンゴを皿に盛って持ってきた。

「霊夢さん、起きましたか。すいませんね。勝手にキッチン使っちゃって。」

バツが悪そうに空が、謝ってきた。

「大丈夫。色々、ありがとうね。それより、どうやってリンゴを買ってきたのかな?」

確かリンゴ冷蔵庫に無かったはずだけど。人里の場所も、貨幣の単位も知らないのに。

「あーそうですね。金は、紫さんから此処来る前に少し貰いました。

人里には、瞬間移動をしました。」

え、空の能力は、私が思っているほど意味が分からない。

私が、思っていた事を聞く前にルーミアが、聞いていた。

「空の能力って何なのだ。私のスペルカードも使っていたし。」

「そうだね。まず大前提として、僕は二つの能力を持っている。一つは君たちと同じ程度能力。もう一つは、霊夢との戦闘の最後に見せた能力だ。どっちから聞きたい?」

「私は、程度能力から聞きたいわね。」と霊夢は言った。まぁもちろん知っていたけどね。

「僕の程度能力は、スキルを創造し扱う程度の能力だ。名前は【著書のスキルノート】。スキルと呼ばれる技を新たに創ったり、再現したりしてその技を自由に使う事が出来る能力だよ。」

「 『なにその、チート能力。』 」

「え、そうかな。僕の世界では、最弱の能力だよ。」

霊夢たちは、驚いて口が開きっぱなしだった。

霊夢たちが正気に戻るまで十五分かかった。

「そ、それで二つ目能力は?」

「それは、私も気になるわね。」聞き覚えのある声が何処からか、聞こえてきた。

空間に黒い空間が現れて、紫さんが出てきた。

「紫、いつからそこにいたの。」と霊夢が警戒していた。

「貴方達が、戦っている時からよ。」ってこの会話全部聞いてるじゃーないか。

「このスキマ妖怪クソババア。」霊夢が紫に叫ぶと。

紫は、怒りに飲まれたのか。

「れーいーむー。このクソガキがー。」霊夢と、取っ組み合いになっていた。

「ルーミア、庭に追い出していい。」

「いいのだー。わはー。」と、快く承知してくれた。

ルーミアを後ろに下がらせ、二つ目の能力を発動させた。

「【歯車:機械メタル仕掛けの化物モンスター】。あの二人を庭に追い出せ。」

僕の横から魔法陣が展開し、巨大な機械の化け物の手が出現し、

取っ組み合いをしていた二人を外に追い出した。

二人とも鬼の形相で、僕を見てきた。

「なーに。もしかして僕を倒そうと思っているの?やめときな。特に二つ目の能力に関しては。」

まぁ、二人ともそんな忠告聞くわけないか。仕方ない少し、遊んでやるか。


「少しだけ付き合ってやるよ。【千楼:はかなき世界ラストワールド】。」

僕は、宙に浮いて笑った。



…………………………これから始まる冒険に期待を膨らまて‼………………………

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