第10話メイドカフェ
「「「いらっしゃいませ、御主人様!」」」
王城のとある一室。
その日、母さんにその一室に呼ばれた俺は政務等をこなしてからそこへと向かったんだ。そしてその部屋のドアを開けるとそんな声と共に俺を迎え入れるメイド姿の母さんとテレサとエリンの三人の姿…。
「…何してるの、3人とも?」
「それは今、王都で流行りのメイドカフェをエルに存分に楽しんで貰うために決まってるでしょ!!」
母さんがポーズをつけながらノリノリで言う。そういえばメイドカフェをこの世界でも流行らせたんだったっけ…。
「マリアの言う通りよ、エル君!こんなメイド畜生の私にもしも…ば、罰を与えたいなら縛って吊るしてもらっても存分に、か、構わないわよっ!」
いかにもして欲しそうに言ったのはテレサさん。まさかテレサさんにそういう性癖があるとは昔は思わなかったなぁ…。
「エ、エル様〜…。あ、あまり、み、見ないで下さ〜い…こ、こんなミニスカートなんて…スースーして落ち着きません…」
恥ずかしそうにしながらそう言ったのはエリン。ギャップ萌えという奴だろうか…。普段は鎧を装着して凛々しい姿のエリンからは想像出来ない仕草と表情。それに一人だけ猫耳迄着けられている。よきかなよきなか。これは二人っきりの時にはたまにエリンに同じ事をしてもらいたくなる衝動に駆られてしまうな…。いや、絶対にしてもらおうと俺は心に決めた。
「むっ!エルが私を見ずにエリンばっかり見てるぅぅ〜!ズルいズル〜いぃぃ〜」
「ふぇっ!? わ、私をですかっ!?」
「くっ!エリンとは2つしか歳が違わない筈なのにこれが若さの故のハンデという奴!?こうなればメイド服姿の私を縛ってもらうしか…」
テレサさんだけは変な方向に話を持っていきそうなのでこちらでまともな方向に誘導しなおしてあげなければいけない。そう思った俺は、
「え〜と、取り敢えず席に案内して貰っても?」
席に着いて注文を頼む事にしたのだった。
「かしこまりました、御主人様♡ どうぞコチラのお席にお座り下さいませ、御主人様♡ニャンニャン♡」
ホント、ノリノリだな、母さん!?
「ご、ご注文は…わ、私…ですか?」
エリン…どれだけ俺の心を持っていこうというのだ?そんなもん即答で、
「エリンをお願いします!」
言うに決まってるだろ?
「ふぁっ!?」
驚くエリンの表情がまたいいな。
「ご注文はロウソクと縄と亀甲縛りされた私でしょうか♡」
「違います」
これもしっかりと即答せねば…。後が大変になるだろうからな…。
取り敢えず無難に注文しようか…。
「オムライスを1つ」
「「「かしこまりました!!」」」
そして出来上がってきたオムライス。
「お待たせしました!ご注文のオムライスだにゃんにゃん♪」
それにしても流行っているとはいえ誰が母さんにポーズや喋り方を教えたんだろうな…。
「お、オプションはどうされますか?」
「エリンにお願いしようかな」
「わ、私ですかっ!?」
「私がしたかったのにぃ〜」
母さんには悪いが今日はエリン一択だろう…。
「か、かしこまりました!せ、僭越ながら私がっ! で、では…お、美味しくな〜れ♡美味しくな〜れ♡キュピ〜ン♡」
(うぅっ…は、恥ずかし過ぎて死ねる…。わ、私がこ、こんな…こんな事を…)
両手でハートの形を型どりポーズするエリン…。がふっ…最近一人一人の気づかなかった魅力に軽くノックアウトされてしまうな。
「まじスバ!赤札はどこに投げればいいですかっ!?」
自然とこんな言葉が俺から発せられる。
「赤札って何ですか!?」
まあ、こんな感じで母さんが主催してくれたメイドカフェを俺は楽しんだのだった。
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