第2話無人島生活一日目
「―で、どうするし?」
「んっ…?」
「こんな島に男と女が2人っきり…子づくりにでも励む感じ?みたいな…」
「励むかぁぁー!まだ出来ねぇわっ!」
「歌もあるっしょっ?―静かな無人の島の蔭から♪男と女の声がする♪イヤン♡バカン♡ソコよソコよ♪―って」
「それ替え歌じゃん!?しかもバッチリヤッてるじゃん!?何でそんな歌があるのか謎だよっ!」
それを聞いてニヤッ―と、するマリン…。どうかしたのか?
「へ〜…流石稀代の天才エルと呼ばれてるわけし…子づくりの仕方迄知ってるなんて流石しょっ?」
「いや…今のは…」
「ち・な・み・に・あ〜しは処女しょっ♡」
わざわざ俺の耳に口を寄せて囁く様に言わなくてもいいからね?
「あ〜しは…いつでもウェルカムっしょっ…にしし…」
野郎…。さっきから俺をからかっていやがるなっ!?マリンはからかい上手の◯木さんかっ!?そう思わせるからかい振りだった…。
「…ゴホンッ…気を取り直して現状を把握しよう」
「誤魔化したし…」
「マリンは何が出来るの?」
「えっ…う〜ん…暗殺と夜伽?」
「そういう意味で聞いてないからね?火は起こせる?」
「それは得意しっ!」
「了解!まずはそうだね…。ディス◯バリーチャンネルで俺が学んだ事といえば水を確保が最優先だね。水がないと人は生きられないからね…。動画の力を舐めるなよっ!」
「ディスなんたらと動画って意味は分かんないけど、エルが居れば何とかなりそうな気はするし…」
そりゃあ、動画なんてこの世界にはないから分かんないか。グリ◯スさんとスタ◯フォードさん最高なんだぜっ!何度も動画を見返した位だ。
「僕も流石に一人では心細かったし、マリンが居てくれて良かったよ…。そういえばお礼も言ってなかったね。ありがとうね、マリン。俺を助けてくれて」
「っ…べ、別に構わないし…そんな事、改まって言わなくてもいいしっ!」
頬を掻きながら照れくさそうにそう応えるマリンは可愛いものだね…。こうして話しているとホント普通の女の子だ。彼女と敵対しなくなった事を考えると船が沈んだ事は良かったのかもしれない。
「じゃあ…まずは水から探そう!」
「了!」
手始めに2人で水から探し始める事にした。島の中央はちょっとした森になっていてそれを囲む様に砂浜がある。俺達は砂浜から木々の間を抜けて森へと足を踏み入れる。
「そういえば持っていたナイフは?」
ミーニャと戦っていた時にはナイフを二刀持って戦っていた。
「流石にあるわけないし…」
そりゃあそうか。結構な重みがあるしね。少しでも身軽じゃないとマズイか…。
―それから…目的の物は程なくして見つかった。物というよりも場所と言った方がいいか…。湧き水が湧いている場所を見つけたんだ。
「…あっちから水の音が聞こえるし…」
マリンが言った方へと向かうと本当だった。水が湧いていたんだ。マリンの耳のよさに助けられたね。早速マリンは湧き水を手で掬い…
「待って!マリン!直接飲まない方がいい!」
「ど、どうしたし?」
「念の為に煮沸しよう」
水は見た所…地下から湧いて出ているみたいなので大丈夫だとは思うけど念には念を入れておかないとね。万が一菌が体内に入ったら大変だしね。
「…煮沸?」
「まあ、簡単に言えば水を火にかけて沸騰させてお湯にするんだ。菌を死滅させる目的もあるし、ああ…そうだっ!それとは別に簡単なろ過装置も作ろう。土と葉っぱ…それと炭を使って…容器は石で木の皮を剥いで…いや…竹を探してみるか?竹なら簡単に容器も作れるし…それから―」
「…多い、多いし!やる事多いしっ!」
「仕方ないでしょっ?念には念を入れないと…いつ助けが来るか分からないし…最悪は…俺とマリンでイカダを作って島を脱出するしかないと思うし…」
「…ホントに5歳し?」
「当たり前でしょ?何歳に見えるのさ?」
まあ、中身は違うんだけどね。それにしてもホントああいう動画見ておいて良かったよ。
「じゃあ、マリンは火を…僕はまずは容器等の代わりになる物をこの辺探してみるよ」
「…了!」
みんなも何かあった時の為にしっかりと動画を見ておいた方がいいぜっ!現、経験者からの忠告だっ!そしてまずは水の確保からだっ!
続く…!
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