第11話sideランス①

 もうすぐ王都で行われるティア殿下の5歳の誕生祭。僕と母様は少し早く王都へと向かった。母様が気を利かせてくれたんだと思う。僕がティア殿下とエルの事ばかり話しているから…。2人に一日でも早く会えるといいな…。


 久しぶりの王都は相変わらず賑やかだった…。僕達の領地よりも遥かに賑わっている。これもエルのお陰かな?僕達の領地もその恩恵を受けているんだけどエルが思い付いたリバーシに独楽、ヌイグルミ、それに調味料の味噌等。それらは急速に世界中にエルの名と共に広まり、今やなくてはならないものへとなっている。それに手紙で知ったけど『しょうゆ』と『す』という調味料ももうすぐ出来ると書いてあった。本当に同じ歳とは思えないよね…。


 でも、だからこそ僕も負けじと勉学に武芸にと頑張れるんだけどその差は大きく感じてしまう…。いつか僕も自分を誇れる様になりたい…。それが今の僕が思う事…。



 取り敢えず宿に向かった後、しばらく体を休めてから…


「じゃあ…ランス、ティア殿下に会いに行きましょうか?」

「えっ」

「ふふっ…会いたいんでしょっ?」

「そ、そんな事は…」


 母様は優しく微笑みながら僕を慎ましいものを見る感じで見ている。どうやら母様には僕の気持ちは全部見透かされているみたい…。


「さあ、行きましょうか!」

「う、うん」



 王城へ行き、まずは陛下に挨拶…。いつ見ても陛下のお姿は威厳があってカッコいいよね?あの長いお髭と全てを見通すかの様な鋭い目。お年を取られてはいるけどそれを感じさせない覇気というのかな?それに頭に載せた王冠、後はあの赤いマントがカッコいい!


 そんな憧れの陛下との挨拶を終え、王城の中庭へと向かう。どうやらそこにティア殿下は居るみたい。王城の中庭にはカフェテラスって言って城の人達がお茶等を楽しむ場所があるんだ。これもエルが提案したらしいんだけど…。


 そんな事を思っているとティア殿下の姿が目に入った。今日は軍服っていうのかな?訓練の時に着る服を着ていてその姿はカッコいい。多分だけど服装から察するに…この後、武術の訓練の時間かな?少しでも話せて良かったと思いながらティア殿下の元へ。


「ティア殿下お久しぶりですね」

「ティア殿下…お久しぶりです」


「お久しぶりです。テレサ様、ランス様」



 ―挨拶を軽く交わした後は母様は別行動をとられた。僕に気を利かせてくれたんだと思う。何気ない話をしてから話は陛下の話へ。


「ホント陛下ってカッコいいよね?」


「…えっ?」


 あ、あれっ………思ってた表情と違う!?何で!?なんだかティアがゴミを見る様な目をした後、遠くの方の空へと視線を移した…。あれっ…?あれっ?あれっ…?


「…ああ…うん…だね…」


 絶対本心でソレって、言ってないよね!?何があったの!?


「え〜と…何か陛下とあった?」


「えっ…ううん…何でもないよ!ゴミ…お父…陛下とは何もないよっ!適切な距離を保ってるからね」


 ゴミ!?ゴミって言った!?しかもお父様って呼ぶのを躊躇われて塵と書いて陛下と言い直した上に適切な距離をとってるから大丈夫って…ソレって、全然大丈夫じゃあないよね!?ホント何があったのっ!?ティア殿下ってこんな感じだった!?


 陛下の話はしない方がいいよね?だったら…


「え、エルはどうしてるかな?今頃こっちに向かってると思う?」


「えっ…エルって…あのエル?」


 え〜と…エルって一人しか居ないよね?それにエルの名を出した途端、モジモジして頬は赤くなってるし…


 ―はあぁぁぁぁぁっ!?察した!?察したよ、僕!?こんなの僕にもすぐに分かる…。ティア殿下ってエルの事が好きだったのかっ!?


「顔赤いけど…エルと何かあったの?」


「ふぇっ!?」


 ―ぼっ!!!


 そんな音がするかの様にティア殿下の顔はますます紅くなり、見えている肌全てが紅く染まっていく…。あったんか〜い!?既にティア殿下の全てが物語っている。


「にゃ…にゃんにもなかった…よ?」


「それ…何かあったやつぅぅぅぅぅぅーーーーー(宮川◯輔さん風)!!!ティア…その反応は分かりやす過ぎるからねっ?」


「あうあう…」


「あうあう…じゃないと思うけど…」


 そっかあ…しょうがないよね…。エルってカッコいいし凄いしね…。僕が女性だったら間違いなく惚れてるしね。



 そっかあ………失恋になっちゃったかな?でも…思ってたよりは悲しくないね…。もしかしたら憧れだったのかな?


 うん…きっとそうだね…。なら…僕は2人の仲がうまくいくように応援しようかな。2人共僕の大切な人達だしね…。


「ティア…友達として聞くけど…エルの事が好きなんだよね?」


「…………………えっ?」



 えっ―って何!?こっちがえっ?なんだけど!?マジかっ!?自分の気持ちに気付いてないのっ!?


「すすすすすすすすすすす、好きっ!?わわわわわわわわわわ、私がっ!?ええええええ、エリュをっ!?」


 何…これって最早…大好きなんじゃないの?

目の前であたふたあたふたしているティア殿下を見て僕はそう思うのだった…。




***

あとがき

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