第2話母さんとデート?
「エル、今日は時間あるわよね?」
「えっ…今日…」
今日も工場の様子を見に行こうと思ってたんだけど…
「家族と過ごす時間が一番大切なのよ?商売も既に軌道に乗ってるでしょ?それにエルはまだ5歳なんだから…」
た、確かに…。最近は少し家族との時間を蔑ろにしていたかも…。
「ごめんなさい、母さん」
「まあ、あれこれ言ったけど一番の理由は私がエル不足だったからなんだけどね?」
母さんはそう言ってウインク…。なんとまあ…母さんが可愛い事よ…。
「今日は私がエルを一人占めするわね?デートしようか?」
そんなに笑顔で言われたら断われないよ、母さん?まあ、断わるつもりはないけど…
「うん、分かった」
俺が了承すると母さんは後ろ手に隠していた布に包まれたものを取り出し…
「2人っきりでピクニックよ♡」
―って、言ったんだけど…もしかしてそれってお弁当?でも、あれっ…護衛は?ミーニャかレーティ、もしくはリンリンかエリンが付いてくるよね?それは2人っきりではないのデートではないのでは?
***
「―そう思っていた時期が僕にもありました」
「エル?せっかく2人だけのデートなのに余計な事は考えたら駄目よ?こういう時って女の子は自分の事だけ考えて欲しいものよ?覚えておいてね!」
「…いや、母さん…。そんな事より護衛の人は?近くの山に来たまではいいけど、ホントに護衛が居ない気がするんだけど?それとも護衛の人って気配消してたりする?」
「今日はデートなんだから護衛の人がいる訳ないでしょ?」
「…えっ?」
護衛居ないって言った!?
「それに…」
「それに?」
「お母さんが居るでしょ?」
腰に身に着けた剣の柄を握りアピールしている…。確かに格好だけは美少女剣士に見えるけども…。
「…母さん戦えるの?」
「ああーっ!エルは母さんが戦えないと思ってたんでしょ?」
「ええ〜と…」
思っておりました、ママン…。
「こう見えてお母さんはミーニャより強いのよ?テレサにも勝ち越してるしね」(パチリ!)
母さんの中でウインクが流行りなのかな?淋しい熱○魚でも歌うか?―って、それはウインク違いだよー!……待てよ…。母さんとミーニャをアイドルデビューさせるのもアリか?
「エル?」
はい…すいません。余計な事をまた考えておりました…。ただジト目は毎度の事ながらありがとうございます!母さんのそのジト目がなんだか癖になってる今日この頃です!
***
山の中腹辺り迄山道を登り、そこから脇へと逸れて獣道を進み、抜けると…。
何という事でしょう…。
目の前が平原の様に開け、まるでお花畑みたいに色々な綺麗な花が咲いてる場所に辿り着いた。空気も凄く澄んでいる感じで気持ちが良い…。
「…ここは昔ね…父さんに教えて貰った場所なの…。エルのおじいちゃんね…」
「おじいちゃんに?」
「そうなの…エルのおばあちゃんも含めて…3人で来た事もある家族だけが知っている大切な場所…」
「…母さん」
そっと母さんの手を握ると優しく握り返してくれる。
「エル…いつか…エルに大切な人が出来たらその人達と一緒に来たらいいわ。ここはそういう場所…」
「うん…分かった。だから…また母さんともここに来るよ」
「エル」
しばらく母さんと抱き合って…それから食事して、ゆっくり景色を心に焼き付けてから山道を下る。
―ガサッ!ガサガサ!パキパキッ!ガサガサッ!!
山道を下る途中何かが草かなんかをかき分けて、枝かなんかを踏みながらこちらへと何かが向かって来る音がする…。
「エル…お母さんの後ろに」
「う、うん」
―カチャ…ス――――ッ
母さんが剣を抜いて構える。
―バッ!―っと、姿を現したのはなかなかの大きさの猪。猪はそのままこちらへと向かって来て…母さんが動いた。
―ヒュッ!
母さんが剣を一振り…。うん…斬った瞬間が全く見えなかった。ほ、本当に強かったんだね、母さん。母さんには逆らわないようにしよう。
ズシャアァァァー!
首と胴体が別れた猪は地面に転がり…動かなくなる。うん…気色悪い…。グロい、グロいよぉぉぉー!
「ゲロゲロゲロ〜…」
「エルっ!?」
その後、近くの川で鼻歌を歌いながら母さんは猪を解体…。俺はというと…情けない事にゲロを吐いた後からずっと母さんにおんぶしてもらっていた。
ただね、母さん…いくら危ないからといって俺をおんぶしたままで猪の解体はしないで欲しいかも…母さんにゲロをぶち撒けてしまいそうだから…。
***
あとがき
本日もなんとか複数更新出来ました!
頑張ってるじゃん!しょうがない評価してやるか!
―等、思われましたら是非とも下部よりポチッと宜しくお願いします!
コメントも是非!
筆者のモチベーションがギューーーンと上がりますので!
いつも本当にありがとうございます!
美鈴
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