聖女の鎮魂歌

寺原るるる

月雫癒星

 聖女は、空を見上げる。

 満天の星空。

 きらめく星々。


 ──創造の女神アレスティーナよ。どうか、星々の祈りを受け取りたま


 聖女は祈る。

 星々の輝きは、世界の全ての命を表す。

 月は、世界を創りたもうた女神を示す。


 ──ああ。どうか人々に安寧あんねいを。世界を救い賜え


 聖女の祈りは星の雨となる。

 天空から、無限に輝く星々が慈雨じうのように降り注ぐ。

 そうして世界を優しく包み込み、不浄をはらい、魂を導く。

 女神の膝もとへと。


「これでいい。わたしの役目は……」


 星の慈雨に包まれた聖女は、降り続く星々を見上げたまま、いつくしみをたたえて微笑ほほえむ。

 聖女は星の光で満たされ


 そして、静かに瞳を閉じた。

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