くるくる考察メモ

第2話・Ｄｒ．ヘル＝メット（マジンガーZ/INFINITY）

　劇場アニメ『マジンガーZ/INFINITY』は、話の前提を全て隠した上で始まるストーリーであり、TV版マジンガーシリーズの正統続編にして完結編、そして挿入歌ネタでした。

『争い絶えないこの世の中に、幸せ求めて悪を討つ』

つまり兜甲児が自分の幸せを犠牲に世界を繁栄させると、反って悪が湧く仕掛け。 だからヘルは『ちっとも世の中から争いが絶えてないぞ！』と現状を否定するのです。

　インフィニティは巨大な『もしもボックス』であり、光子力研究所の地下にあるジャパニウム鉱床を喰って１０年がかりで完成した自己増殖型のマジンガーです。

　種を仕掛けたのは兜十蔵博士とDr.ヘル。

　彼らは最初からグルだったのです。

　Dr.ヘルのフルネームは、おそらくヘル＝メット。

　大学の同期だったらしい両者は『兜』と『ヘルメット』の類似性から意気投合したと思われます

　そしてバードス島で古代遺跡を調査した十蔵とヘルはミケーネ帝国の復活を予想し、遺物のロボットを参考しにた光子力戦闘ロボット『マジンガーZ』を開発、同時にインフィニティの種を撒きました。

　ここでアクシデント、１話で十蔵博士が死亡してしまいます。

　どうやらあしゅら男爵を御しきれなかったようで、そのためヘルはどうあっても死ねない立場となってしまったのです。

　とりあえずヘルは遺跡の機械獣を全て破壊し、不確定要素を取り除きます。

　そして完全オリジナルの機械獣グロマゼンＲ９を建造。おおむねマジンガーです。

　ここから先はひたすら甲児の戦闘訓練と機械獣の改造を繰り返し、そのデータは科学要塞研究所に送られグレートマジンガーの開発に利用されました。

　それどころかグレートマジンガーのOSはヘルが作ったモノです。

　ヘルの任務は何が何でも生き延びて、ミケーネ帝国に参加してでも生き延びて、例えマジンガーが敗北しても完成したインフィニティを起動して、ミケーネもマジンガーも全て無かった事にする、というものです。

　対してインフィニティを起動しない条件は『ミケーネ帝国に勝利して、争いのない光子力の理想郷が誕生する』でした。

　さてインフィニティが産み落としたアンドロイド・リサですが、彼女はインフィニティが改変する世界への道しるべであり、十蔵とヘルが目指した光子力の理想郷と現実のギャップを背負った姿として生まれる仕掛けになっています。

　実際、弓教授と甲児の尽力により、光子力の理想郷は実現しています。しかし十蔵の理想から少しだけピースの欠けた未来を招いてしまったのです。

　その『欠けたピース』の正体は、甲児の頑張りすぎでした。

　甲児は自分の幸せを犠牲にして、家庭も作らず働いたからリサが生まれたのです。

　こうなったからにはヘルも黙っていません。

　彼は十蔵が死亡した時点からインフィニティの起動を決意し、過去を改竄する機会を窺っていたのです。

　あしゅら男爵とブロッケン伯爵も蘇らせ、グレートマジンガーを拿捕。データを奪ってインフィニティを起動させます。

　甲児を挑発したのは、ギャップの撲滅もヘルの勝利条件に当てはまるから。

　甲児が幸せになったらインフィニティを始末する。それもまたヘルの任務だったのです。

　そしてヘルに叱責された甲児は、十蔵たちの計画と、自分たちやマジンガーがあまりアテにされていなかった事を知りショックを受けました。

　神となったヘルに対し、甲児は悪魔と化して『世が世なら存在していたかもしれない娘』という可能性を滅しました。

　甲児はヘルの真意に気づいたようですが、その真相は墓場まで持って行くつもりだったようです。　しかしさやかは気づいたらしく、ラストで『今度は（甲児との恋を）うまくやります』と宣言しました。

　ようするにDr.ヘル＝メットは最初から世界を改竄するつもりだったから、やりたい放題やってた訳ですね。

　あしゅら男爵が率いる戦闘員たちですが、なんて名前だったか憶えてますか？

『鉄仮面（この場合は面頬つき兜）軍団』です。

　……とまあ、なにせ隠された大前提、つまり本編で感じた『なぜ』を逆算したら考察がこんな感じになっちゃって理解しがたい事この上ないとは思いますが、もう一度チェックしながら観れば意味が通じると思います。す