第11話 《配信チャット》(TAKU)
《:なんだあいつ⁉ マジでなんなんだ⁉》
《:タックンが倒せなかったモンスターを一発で倒したぞ!》
《:どういうことだよ、チートすぎないか⁉》
《ゲンノウ:なんら不思議なことではない。ヤトノカミの弱点を突いただけだ》
《:え、誰?》
《:知っているのか雷電》
《:はい出た、物知りぶってる知ったかぶりの奴》
《ゲンノウ:ヤトノカミは目視されている間は無敵になる。だが、視界を遮れば、簡単に決着がつく。カンナ程度の戦闘力でも容易に倒せる》
《:何その後付け設定》
《:カンナって誰?》
《:あの大蛇を倒した奴だろ》
《:ちょっと調べてみたけど、登録者5人の弱小だぜ》
《:さすがにそいつは違うだろ》
《:いや、どうも、配信の内容を見てみると、こいつっぽい。ナーシャとコラボしてるし》
《:じゃあ何か、そんな底辺ライバーが、タックンが倒せなかったモンスターを秒殺したっていうのか》
《:秒殺は違うだろ。最初逃げ回ってたんだし》
《:なんにせよ期待の新星ってことでぉK?》
《:どうも胡散臭いな。実は仕込みじゃねーの》
《:仕込みなんて出来るか? あれはガチだろ》
《:じゃあ、あんなに強い奴がどうして今日まで底辺なんだよ》
《:どちらにせよ、目が離せないな。俺、登録してくるわ》
《:俺も。もしかしたらすごいのが見られるかも》
《:俺はパス。いまどき、スマホ片手に配信とかありえないって。普通に画面が見にくいし》
《ゲンノウ:そもそもヤトノカミとは、夜刀神と書き、『常陸国風土記』に出てくる国津神の一種だ。朝廷に抗い、消えていった古代民族の象徴とも言える。そのような存在がゲートから出てきた。あちら側の世界が気にはならないか?》
《:だから誰だよお前》
《:面白い設定ですね。投稿サイトで小説にしてみたらどうですか》
《:ありきたり過ぎてPV0だろw》
《:季節の変わり目にはたまに湧くんだよな、こういうイカレ野郎》
《:それよりみんなタックンの心配しようぜ。まだ目を覚まさないぞ》
《:まさかタックン死んでる?》
《:死ぬわけないだろ。あのタックンだぞ》
《:あ、起きたみたいだ。よかった》
《:今回、タックン、いいとこなしだったな》
《:まあまあ、そういう時もあるさ。初期の頃の配信とか失敗の連続だぜ》
《:古参面うぜえ》
《ゲンノウ:TAKUはなかなか見どころはある。だが、この先、さらに高レベルのダンジョンとなった際に、果たして生き残れるかな》
《:あ? なに言ってくれちゃってんの? こいつ》
《:アンチは帰れ》
《:まあまあ、虎剣と比べたら、一段落ちるのは間違いないんだし》
《:虎剣は関係ないだろ》
《:虎剣は別格。ヒロアカでいうところのオールマイト》
《:虎剣って?》
《:知らないのか雷電》
《:ダンジョン配信見てるなら、それくらい知っておけよ情弱》
《:情弱なんてレベルじゃないだろ。日本人なのに織田信長知らない、ってレベルだぞ》
《:とりあえず検索しろ。話はそれからだ》
《:タックンがカメラ見てきた!》
《:おーい、タックン! お疲れ様!》
《:ナイスファイトだった!》
《:これからも応援してるよー!》
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