青煙が天に沖する

藤泉都理

愛しているからこそ殺したい







 あなたへの想いは変わらない。

 永遠に。

 そう言ってくれるのに。

 年を重ねるごとに、思考も外見も五感も変わっていく君を見た。

 間近でずっと見続けた。


 君は言ったね。

 あなたへの想いは変わらない。

 そう言ってくれたのに。


 変わりそうで怖いと怯え始めた。

 変わらないあなたを愛しているのに。

 変えたいと望むようになってしまった。


 殺して。

 いつしか君は口にし始めた。

 あなたへの想いを変えたくない。

 だから。


 君は言った。


 愛しているからこそ、生まれて初めて抱いた愛をずっと持っていたい。

 新たに芽生えた愛を殺したい。

 変わり果ててしまった愛を殺したい。




 愛しているからこそ殺したいって。











(2023.10.13)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る