第12話 サイトウ、仲間になる
翌日。
ヒメカのパーティーに入れてもらう事を決めた俺は、泊っているホテルの近くにあるレトロ喫茶、タルタルコーヒーに呼び出され。
パーティーメンバーである猫人族の少女、タマネを紹介されていた。
「アタシはタマネ。 ジョブはヘビーハンマーでこのパーティーの前衛を務めているにゃ。 サイトウちゃん、これからよろしくなのにゃ」
ヘビーハンマーはファイターからランクアップ可能な第二階層ジョブで、大型の打撃武器を使ったウェポンスキルの扱いに長けるタンク寄りのアタッカーだ。
(ヒメカといい、この年でもうランクアップしてるなんて……うごご、才能の差を感じるぜぇ)
タマネの前に、一応私から自己紹介するわねと話し始めたヒメカは。
自分のジョブがメイジからランクアップ可能な第二階層ジョブ、ダークメイジであることを教えてくれたのだ。
「よろしく、タマネ。 お……わ、私は最近ジョブチェンジしてメイジになったばかりだから、最初は二人の足を引っぱっちゃうかもだけど、力になれるようがんばるぜ……よ」
「にゃはは、そんなに緊張しなくて大丈夫なのにゃ。 これからは同じパーティーの仲間なんだし、もっと砕けていくにゃ」
「ふふ、この娘結構人見知りなのよ」
(あばば、ヒメカの提案で口調を変えてみたが慣れないせいでなんか変な感じにぃ……! )
昨晩、俺がパーティーに加入するにあたってジョブチェンジで起きた一件をどう処理するかヒメカと話し合い。
ジョブチェンジで性別が変わってしまったことは、研究対象になるくらいには珍しい事態なので元男のおっさんであるという事実は今後なるべく隠しておいた方がいいだろうという結論に至った。
なんだか、タマネを騙しているようで悪い気もするが。
もう二度とジョブチェンジを行えない以上、男のカラダに戻れるという保証もなく。
わざわざ中身がおっさんであることを理解してもらうよりかは”ふたなり”という特徴を持って生まれた少女として紹介したほうがタマネも接しやすいだろうとヒメカは口にしていた。
(それに。 受付嬢のフウカさんも、このカラダだとこれからは女性用のトイレや更衣室といった施設を利用せざるおえない以上、トラブルを避けるため女性として振舞った方がいいって言っていたしな……)
「さてさて~! ほいにゃら、自己紹介も済んだことだし~何か食べようにゃ! ほら、サイトウちゃん。 メニュー表どうぞ~にゃ」
「おあっ、ありがとう……」
「それじゃあ、今日はここから。 サイトウちゃんのパーティー加入を祝して歓迎会にしましょうかっ」
「やふ~! 大賛成にゃ~!! 」
「さっ、そうと決まれば。 じゃんじゃん、好きなもの頼んでいくわよっ」
「おーっ!! ほら、サイトウちゃんもっ。 おーっ! 」
「お、お~っ! 」
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