マリーとデート

 『それじゃ勇、いきましょ!』


さっきまでがっつりお仕事モードだった

マリエル神官長こと、マリー

勇はバタバタしてる教会内を見つつ


 『え?いいの??

 なんかいろいろ忙しそうだけど?』


すごく忙しそうなのに

その教会のトップであろう人と

こんな時にのんびりお買い物なんて

行ってもいいのかな?と思ってしまう

マリーは全く気にしてない素振りで


 『大丈夫大丈夫

 みんなそれぞれ

 ちゃんと動いてくれているので

 心配ご無用〜

 それより早く行きましょ〜』


マリーは勇の手を引っ張って

教会をあとにする

マリーは姫の身分を隠し

教会に来たついでに街をよく歩くらしい

街の人々の生活を見るのも王族の務めだと

いう話をしてくれた

勇は環境が違うとこうも考え方に違いが

出るのかと思った


 この年で人の命すら預かっているとなると

 やっぱ心労は絶えないよな〜

 苦労人・・・というのは失礼なのかな・・・


勇はマリーの笑顔を見ながら

そんな事を考える


 マリーに連れられて最初に来たのは

女性用のインナーウェアなど扱っているお店


 『ここからいってみよー』


マリーは凄く楽しそうだ

お店の中は日本で知ってるのと

そう変わりはない

マリーがたくさん持ってくる

勇はそんなに拘りはないのだが

ただ下着などの質感はやはり

ジャパニーズブランドのそれと比べると

生地の問題もあって見劣りする

勇のサイズを測っている時に

今つけてるのを見せたら

店長が驚きの声を上げた

そこからはあーだこーだと話を聞かれ

ぜひサンプルとして勇の下着を

置いて行ってと言われた


 『いやいやいやいや、

 そんな今脱ぎたてを置いていくは

 やだよ〜恥ずかしい〜』


抵抗虚しく

店長の土下座に負けて上だけ

置いていく事になった


 恥ずかしいな〜もぅ・・・・


その代わりに新作が出来たら

即お届けします、との事だったので

まぁ納得するしかなかった

店長は技術革新だと言って

はしゃぎまくっていた

その後はまたしばらくマリーの着せ替え人形となる


いろいろ買ってお店を後にした


数年後このお店は最先端下着ブランド


女神の下着屋さん


として国内外に支店を多く持ち

一流ブランドとしてその名を轟かせる

そしてその中でも


勇者様ご使用モデル


が一番人気となる

それを見た勇は


 『いやちょっとまってよ

 これ私つけてますって

 大々的にアピールするの

 恥ずかしいからやめてよ〜』


と言ったというが

それはまた別のお話


次にマリーに連れられて行ったのは

武器防具のお店

マリーは勇の破れた道着の変わりがあればと

思いつれてきたのだが

道着は売ってなかった

マリーは申し訳なさそうにしているが

勇は道着がなかった事よりも

珍しい物をたくさん見れる

面白さがあった

マリーは勇が武器を持たないと

聞いていたのでお店の人に

素手で戦う人におすすめを

聞いていた


 『今時素手なんて珍しいね〜

 女の子で素手ね〜

 素早さ重視の軽装がいいかな・・・』


と言ってお店の人がいろいろ

選んでくれた

その辺は素人なのでお店の人任せで

お勧めを買う事にした

拳の保護を兼ねたグローブ

革製の胸当てとシャツ

スパッツと魔力が帯びた糸で作られたスカート

マリーは勇が着替えたのを見て


 『うん、かっこかわいい〜』


勇はマリーが喜んでくれたので

それに決めた


次に2人が向かったのは

やはり甘い物であった

マリーが案内してくれたお店に

入ると


 『あら、マリエル様

 よくおいでくださいました』


そう言っておばさんが出迎えてくれた

お忍びですらなく

すでに姫とバレてるくらい来てるのが

常連の証

マリーは笑顔で答え席につく


 『勇、これがおいしいのよ

 あと、これとこれと・・・・』


そんな感じでたくさん頼まれてきたのは

焼き、蒸し系のスイーツ達

どれもおいしいのだが

今一つかけていると感じた原因があった・・・

それは生クリームとプリンがない事だった


 ヨーグルトはあるのに

 パンケーキの様な物はたくさんあるのに

 ジャムや蜂蜜はあるのに

 どうして生クリームがない!!!


勇はショックのあまりキッチンに向かった

そしておばさんの前で生クリームを作った

がっつり甘いやつが出来た

ケーキ達に乗せまくった

それを食べたマリー、おばさん、店員、そして勇

全員が天国を見た・・・

おばさんにレシピ教えたついでにプリンのレシピも

教えておいた


 『なんてこったい・・・

 こんな食べ方があったなんて・・・』


おばさんは感激していた


そしてのちにこのお店は


 女神のスイーツ店 


としてその名を国内外に轟かせる

フランチャイズ化に成功し

各地域で老若男女問わず行列をつくるお店となる

その中で一番人気メニューは


 勇者の生クリームマシマシセット


天高く盛り上げられた生クリームが

勇者の称号だ!と言わんばかりだったというが

これもまた別のお話


勇とマリーはその後も街を巡り

たくさん買い物をして

たくさん話をして城に戻った

レイはまだ帰ってなかった


 その夜勇は1日凄く楽しかったと

幸せな笑みを浮かべベッド入った時

コンコンっと部屋がノックされる


 『ゆう、入ってもいい?』


マリーだった

勇はまだまだ話したかったので


 『いいよ〜どーぞ〜』


と言って迎い入れる

マリーは寝巻きだった


 『一緒に寝てもいいかな?』


マリーの反則的にかわいいお願いに

勇は撃ち抜かれた


 『うんうん一緒に寝よ〜』


ベッドで横になりながら

勇は日本の話をたくさんした

ちょっと感極まって涙が出てしまった

マリーはソッと涙を拭いて

笑顔で手を握った

そして勇の口にそっとキスをし

ギュッと抱きしめてくれた

2人はそのまま眠ってしまった


次の日の昼過ぎ


アンデットの襲撃を受けて対応していた

レミス村の魔術師組合長から

緊急応援要請の手紙が届いたのだった



続く

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