女神の教会

 勇と姫様マリエルことマリーは

勇の生活必需品などを買うために

街へ出かける事になった

マリーはさすがにドレスで出かける訳には

行かないので目立たない服に着替える


 『ゆう〜おまたせ〜』


着替え終わったマリーが戻ってきた

勇はマリーのかわいさに


 『うわっ!まぶしい!!

 可愛さで目がくらむ〜』


とマリーを褒めまくる

マリーは照れているが

まんざらでもない


 『も〜勇、ちゃかさないでよ〜』


マリーはもう完全に姫のポジションを

忘れている

マリーは国の事や魔人の事など

たくさんの事を抱えている

勇はそれを感じ取って

その負担を少しでも軽くして上げたいと思い

自分と話す時はできるだけ楽しく過ごせたらと

そう思っている


いざ街へ行こうとした時

勇は女神との約束を思い出した


 『あ、そだ、教会ってある?』


勇はマリーやレイに尋ねる

マリーは

 

 『勇が初めて来た所 

 あそこが教会よ

 このお城の隣ね

 それがどうかしたの?』


マリーは不思議そうに勇に尋ねる

勇は女神からの頼まれごとを

マリーやレイに説明を始めた


 『私ね、女神様にお仕事頼まれてるんだよ

 この世界にあるたくさんの教会を訪ねて

 お祈りを捧げて、女神様を呼んでほしいって

 それをしたら〜

 なんだっけな?

 なんかいい事起きるって言ってた!』


かなり大雑把な説明にマリーもレイも

少し苦笑いだが勇と女神が絡んでる話なら

何か重大な事なのだろうと

勇とマリ、レイ、ガモンドは教会へ足を運ぶ

教会のドアを開けると

複数の神官達が清掃などの業務をしていた

マリーが来た事が分かると

全員が軽くお辞儀をする

マリーも軽くお辞儀で返すので

勇もマネしてみた

勇達が女神像の前までくると

マリーが両膝をついて両手を合わせて

お祈りするのを見て勇も真似る

勇が目を閉じ祈ると

女神像がぼんやり光った

それを目撃したその場所にいた全員が驚いていると

さらに驚くべき事が起こる


 『勇、よく来てくれました

 私の事忘れてないか心配してましたよ

 勇者としての初の一歩

 ご苦労様でした

 見ていましたよ

 とてもよい活躍でしたね』


頭の中に女神と思しき声が響く

そこにいた勇以外の人間が驚きを隠せずにいた

勇は女神の声を聞いた事があったのと

お祈りしたら女神様の声が聞こえて普通なのかな?

と思っていたので特に驚きはなかったのだが

周りの状況を見る限り

普通ではない出来事のように感じ取れた

勇は女神様に


 『めがみさま〜

 お祈りきたよ〜

 ってか女神様見てたんだ

 めっちゃ怖かったけどがんばったよぉ』


勇は女神と会話を始めた

淡々とそして普通に話始めた事に

周囲の目は勇に対しても女神様

同様に敬意を払うようになった

そして女神様は


 『私を呼んでくれてありがとう

 これでこの場所と私は繋がりました

 今から私の力でこの教会を中心に

 街全体を小規模な結界で包みます

 魔物や魔獣の侵入

 魔人によるちょっとしたイタズラなんかは

 防げるでしょう

 しかし魔人が悪意を持って結界の破壊を

 目論んだ場合は長持ちはしないと思います

 相手の力によりますけどね

 できれば毎日私にお祈りを捧げてくれる人が

 増えると効果はもっと上がっていくと思うんだけど

 街の人々が私をもっと信仰してくれと 

 助かるんだけどな〜フフフ』


その声を聞いたマリーは

神官長として女神への忠誠心を示す


 『女神様

 神官長を務めております

 マリエル=ガーベラルシアと申します

 私ごときが女神様と声を交える事をお許しください』


マリーは今までにない緊張感のある声で

女神様に許しを乞う


 『かまいませんよ

 お気を軽くしてください

 マリエル神官長

 よい教会ですね、信仰心が高く

 神聖力で満ち溢れています

 あなたの日々の努力おかげですね

 ありがとう、マリエル神官長』


女神様は暖かくマリーを迎える

マリーは泣きそうになりつつも

しっかりとその責務に恥じない対応をする


 『はっ!お褒め頂きこれ上ない誉でございます』


マリーを始めとする

その場にいた神官全員が

その場で両膝をついた状態で

深く頭をさげる

そして女神からマリーにお務めが

言い渡された


 『マリエル神官長

 あなたを見込んでお願いがあります

 勇には私の眷属として

 出来る限り教会を周るよう

 お願いしています

 あなたには勇が訪れる

 可能性のある教会全てに

 私の立像をおき

 神官によるお祈りによって

 その場所を神聖なものに

 して頂きたいのです

 教会の大小は問いません

 立像も教会の規模に合わずとも

 小さく木彫りでも構いませんし

 間に合わなければ

 石板や木版へ彫ったものでも

 かまいません

 教会として神聖な場所とし

 私の居場所を作って頂きたいのです

 お願いできますか?』


女神の依頼を断れるはずもなく

マリーは力強く答える


 『はっわわたくしにお任せくださいませ

 その任、全力で全うさせて頂きます!!』


それを聞いた女神は


 『よろしくお願いしますね

 それでは勇、今回のように

 どこでも私に会える訳ではありませんが

 またどこかで会える事を楽しみにしていますね

 がんばって・・・・』


そう言い終わると女神像のやんわりとした光が消えた

女神の気配がなくなるとマリーはサッと立ち上がり


 『ハーシア副館長!

 シエル副館長!

 女神様のお声

 聞こえましたね!!』


そう言うと教会内にいた神官のうち2名が

マリーの前に現れて片膝をつく


 『今この時よりあなた方2名に

 教会の人事における全権限を与えます

 我が国内の教会へ神官1名、神兵1名の

 2名を1組として派遣させてください

 適正人員の派遣名簿を作成して

 私の所へ

 また神官達へ今回の任の

 その責務の重大さを指導してください

 よろしいですね

 それでは直ちに行動に移ってください』


マリーがそう言うと2名の神官は

ハッ!という力強い言葉を残し

その任に取り掛かるべく

教会を後にした


勇はマリーの仕事っぷりに驚いた


 私と変わらない年なのに

 しっかりしてるのだ


勇の心の中のずんだもんがそう言った


 ってかこんな事の後に買い物行けるのかな〜


ちょっと気がひける勇であった


続く


 

 

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