私勇者です、がんばります!!

春夏秋彦

死んじゃいましたか?私?

 『それじゃぁ、おじいちゃんランニングいってくるね〜』

 『帰ったら組み手よろしくね〜』


大きな声でそう言い道場を出ていく少女


数分後・・・・


 『う〜ん、おじいちゃんに手を振って出てきた所までは

 覚えてるんだけどなぁ』


あたりをキョロキョロする少女


 『ここはどこだろう?』

 『何もないけど、でも不思議と綺麗場所だと思える』

 『だれか〜いますか〜〜〜〜』


大きな声で呼びかけるも自身の声が響くだけで

人の気配はない


 『むぅ〜』


両手を腰にあててため息をつく少女

さすがに異常な状況に少し怖くなってきた瞬間


 『下御陵(しもごりょう) 勇(ゆう) さんですね』


背後から急に声がした


 『ひゃっ!!!』


ビクっとして体を丸くして恐る恐る振り向くと

そこには綺麗な女性がフワフワと浮いていた


『綺麗なひ・・・と???

 幽霊???』


勇と呼ばれた少女は恐怖よりも目の前の女性に

魅了されてしまった


 『急に驚かせてごめんなさい

 あなたは下御陵(しもごりょう) 勇(ゆう)さんですよね

 安心してください、とっっっても怪しいとは思いますが

 不審な者ではありません、私』


フワフワ浮いている女性は勇(ゆう)に笑顔を振りまく


 『はっはい!勇です、私、下御綾 勇 です』

 『あの一体あなたは???』

 『そして何故私の名前を知っているのですか?』

 『初対面ですよね会った事ありましたっけ?』


目の前の相手が想像を絶する美女だったからだろうか

勇は恐怖心が薄れてきていた

これがとっても怖いおじさんだったら半泣き状態で

身の危険を感じ心の中で


 お父さんお母さん助けて


と叫ぶ所だった


 『いろいろ不思議だと思うのだけどゆっくり聞いてね

 まず私は女神です

 あなた達の言うところの神様にあたる者です

 なのであなたの事はなんでも知ってるのです

 そしてあなたに残酷な事を告げますが

 あなたは死んでしまいました

 ごめんね』


女神と名乗る女性は

少し涙を浮かべながら

唐突にとんでもびっくり発言をしてきた


 『ふぇ・・・死んで?

 へっ?死ん?死んで?

 え?わたっわた、私がですか?』


勇は自身の顔を指差しながら

青ざめた顔で女神に尋ねる


 『思いだせませんか?

 少し記憶が混濁しているようですね

 急にこんな事を言われて理解しろというのは

 無理な話だとは思うのですが

 この状況、この場所、そして私

 夢のような状況がその事実として

 受け入れてもらえないでしょうか?』


そっと勇の手を握り理解を求める女神

女神との距離が近くなった勇は

 

 きれい〜〜


あまりの美しさに自分の置かれた状況よりも

彼女の、女神の美しさにみとれる

そっと彼女に握られた手を見ると

その先のタワワな果実が目にはいる


 おっぱいでっかっ!!!


勇はそこで現実に戻る


 『夢、じゃなさそう

 ここは早く理解しないと先に進まないですよね

 そっかぁ死んじゃったのか・・・

 そっかぁ・・・

 はぁ・・・・

 やり残した事もいっぱいあるし

 もうメイやサツキにも会えないのか〜』


凹む勇に女神が


 『お友達ですか?

 さぞおつらいでしょうけど・・・』


とその先を言いかけた瞬間、勇がさえぎる


 『トトロです!!!』


急に元気になる勇


 『え?』


女神が勇の一言に目が点になる


 『知らないですか?となりのト○ロです』

 『とっても好きだったんです』

 『もう見れないのかと思うと最後に

 もっと堪能しておけばよかったと思います』



すごく清らかな眼差しで涙ぐむ勇


 『えっと、あの、あ〜〜〜

 〜〜〜〜〜・・・・

 見る?』


困惑した女神が勇に最後のチャンスを与える


 『え!!!いいんですか?

 ってか見れるんですか!?』

 『見ます!ぜひ見せてください』


88分後


 『グスッグスッ 

 何度見ても泣けますね』


号泣する勇と理解ができない女神


 『え〜っと、泣く所なのかしら

 ちょっと私にはレベルが高いのかな

 まだ泣くところまでいけないわ

 ごめんなさいね

 あっ!でも、とてもおもしろい作品だと思いますわ』


 『5回目くらいからですかね

 感情移入が半端なくなってきて

 そっから何度見ても泣いちゃうんですよね〜』


何故か誇らしげな勇


 『あら、そう、なの、アハハハ、はぁ〜

 んんっそれでは私のお話を聞いてもらってもいいかな』


咳払いの後に本題に入る女神

そして矢継ぎ早に続きを話していく


 『あなたは残念ながらあなたの世界では

 その生を終わらせてしまいました

 ただ、あなたにはまだまだたくさんの可能性が

 残されています

 その可能性を新たな世界で存分に奮って頂きたいのです

 その世界は混沌としています

 あなたにはそこで 勇者 として

 世界に光を灯して欲しいのです』


女神がありがちな話を勇に伝える

しかし勇には伝わらない

 

 『可能性の獣ですか?

 勇者?って何するんですか?

 というか私、そんな大それた人間ではないですよ?

 身近な誰かならまだしも

 世界に光って・・・

 電気屋さんのお話ではないですよね?』

 

頭の中がハテナでいっぱいの勇は

両手をブンブンふって自分はそんな人間ではないと

いっぱいにアピールする

女神は勇を説得させようとさらに


 『ゆっくり聞いてね

 勇者っていうのはね

 勇気をもって一歩踏み出した人達の事よ

 様々な形があるのだけどね

 あなたには、あなたの心の中にある勇気が

 必要としている世界に行って思う存分輝いてほしいの

 その光が世界を切り開いてくれるわ

 そこでは今、あなたが来てくれるのを待っています

 あなたの知ってる世界と全く違う世界

 その世界の人々を助け 

 悪を挫(くじ)き

 あなたの正義を貫けば

 たくさんの人々が救われる

 あなたが思う悪をあなたの中で正義で叩いて欲しいの

 よくわからないだろうけど

 悪いやつをぶっとばせって事よ!

 その力を私があなたに授けるわ

 誰にも負けない強い力を

 その世界であなたが生前我慢して抑えていた思いを

 全てぶつけてしまっても構わないわ

 それが許される世界よ』


勇は女神の話を聞いてこう思った

 

 話長いよ

 でも後半だけでよかったのではないのだろうか

 話の確信はぶっとばせ!でしたよね


そう思ったがやけにテンションが高い女神に対し

そこは突っ込まないでおこうと思った



続く

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