~8年先のやばい未来に転生~桐島流朗物語

シドウ

プロローグ

第1話 桐島流郎と申します

 私、桐島流郎と申します。

 私の過去を少しばかし語りますと、はるか東にある島国で生まれて紆余曲折はありながらも何とかして生きてまいりました。

 19歳の時には侍としても有名で、有難いことにたくさんの方々が私を慕ってくれたのでございます。

 しかし、20歳の初夏の時にとある事件が起きまして、それをきっかけに私は故郷を1人で離れました。

 その時は急いでいたものですから、なんの準備もせずに小船で出発したんです。

『とにかく、急いでこの国を出て、遠くの場所に行かなければならない』と考えておりました。

 故郷を離れた理由はいつかお話いたしましょう。

 ところでみなさん、今さっき私は何と申し上げたか覚えていますか?。

 私、先ほどは何も準備をしていないと言いましたね?

 ですから、食料も水もなく、ゆらゆら揺れる船の上にずっといたんです。

 すると、どうでしょうか? 

 お腹は減るわで、喉は乾くわで大変。

 特に喉が渇きすぎて死ぬかと思いました。

 夏の天気はお日様がよく見えて、日中は暑い。

 余計に体の水分が失われ、高熱を出したかのように体が熱くなるんです。

 水、水、水。

 頭の中は水のことでいっぱい、いっぱいでした。

 出発をしてから十数時間も経ってこんな状態ですよ?

 明日には死ぬのではないかと思ったほどです。

 明日以降に未来が無い、明日以降に希望が無いと思った瞬間、恐怖と不安でいっぱいになりました。

 なんで私はこんな目に遭っているんだと不平不満で思考が埋め尽くされていました。

 ですからね、御天道さんではなくて――ここでは神様ですね。

 神様に文句を言ったのでございます。

 どうして私にこんな不幸な目に遭わせるんですか?

 私が一体何をしたというのですか?

 人から見ても神様から見ても善良であり続けました。それなのに、こんな仕打ちを私にするのですか?

 全知全能の神というのなら、私を助けてみなさいよ、とね。

 他にも口に出せないほどの罵詈雑言を神様に浴びせました。

 今では神様は常に一緒にいてくださって、ちっぽけだと考える一個人に対してもすべてを使って愛してくださることを知っております。

 ですから、みなさん。

 そんな目を私に向けないでもらえないでしょうか?

 眉毛吊り上がり、睨まれていて、とても怖いです。

 あの時の私をたくさん間違える未熟者の考えだと思っていただければ眉も下がるかなと思います。

 おおっと、話が逸れてしまいましたね。

 のどが渇いて死ぬ思いをした後、幸か不幸か、その翌日には大雨が降ってまいりまして、濡れた衣服を吸い上げてなんとか水分不足を解消できたのでございます。

 みなさん「いやー、良かったなー。雨が降って本当に良かったですなー」と思うかもしれませんが、まだそう思うのは早いというもの。

 大雨のせいで、この時は海が大荒れで、この時、小舟がぐわん、ぐわん、と大きく揺れたんでございます。

 すると、どうでしょうか?

 何が起きたと思います?

 みなさんが考える通りのことが起きました。

 そう、ものすごい吐き気がして、気分が悪くなったんです!

 ……

 え、そんなことは考えていない?

 すみません、ちょっとした冗談でございます。

 続きを語らせていただきますと、小舟がぐわん、ぐわん、と揺れているほどの荒波でしたので、なんとか振り落とされないように、船にしっかりと握りしめていたんですねー。

 荒波の中、ふと私は船の進んでいる方向を見たんでございます。

 すると、大きな波がこちらにぐわーっと迫ってきていたんです。

 ただただ近づいてくるのを見るしかできませんでした。

 なんたって今、私は小舟に振り落とされないように舟に掴まるくらいしかできないんですから。

 それで、波が目の前に来た時には十数メートルと3階建ての家よりでかい高さの大波になっていて、これはまずい、と思ったんだですが私にはどうすることもできません。

 そのまま大波に飲み込まれましてしまうんです。

 ああ、死んだなと思ったところで気を失いました――

 当然のことですが、気を失っている間は何一つ記憶がございません。

 私自身、死んだのかと思いきや生きていましてねー。

 次に目を覚ましますと、

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