猟奇的な短編集

秋晴ライヲウ

籠の中の鳥

 最近、新しいトモダチが出来た


 名前はボクと同じ小林(仮)だ


 「おはよう」


 「やぁ、おはよう」


 「今日は何をするんだい?」


 「う〜ん、何をしようか」


 「小林は何をするんだい?」


 「そうだなぁ、何をしよう」


 小林(仮)はボクと話す時は眼をしっかり見て話してくれる


そういえば、小林(仮)が他の人と話しをしているのを見たことがない


あれ?


最近…小林(仮)以外に誰かに会ったっけ?


まぁいいか


もう一度、小林(仮)に話しかけようとしたところで声をかけられた


 「席につけ!」


 「うわぁ、うるさい人が来た」


 ボクは席に座った


 ガチャガチャ…


 扉の外で音が聞こえる


 重い音と共に扉が開き、怖い顔の男がボクを呼ぶ


 「小林!運動の時間だ」


 そうだ…


 ボクは小林、此処は刑務所の中


 「早く仕度しろ」


 扉の前にいる刑務官が小林に言う


 あれ?ボクが小林?


 そうか、何十年もここにいて少しボケたのか


 ここは 鳥かご


 ボクは 籠の中の鳥


 

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