自宅アパートがダンジョンに取り込まれたので脱出を目指す~なお浴室からの全裸スタートとする~

平野ハルアキ

第1話 浴室の外がダンジョンになってた

 自宅の浴室扉を抜けると迷宮ダンジョンであった。


 意味が分からねぇ、と思われるかもしれないが事実なのでしかたがない。


 俺こと朝風 征馬あさかぜ せいまは自宅アパートへ帰宅し、汗を軽く流そうと浴室へ向かった。


 のんびりとシャワーを浴びているさなかに突然断水して窓の外も暗くなり、なにごとかと外へ出るとそこは魔物が徘徊する石造りのダンジョンであった……という次第。


 ……え~っと。


 つまり俺が入浴中にダンジョンが出現し、そのままアパートを取り込んだってことか?


 そう考えれば、断水したのも水道管が途切れたためだと納得できる。電気も消えて外も暗くなっているのに光量は問題なしというのも、ダンジョンの不思議特性『光源がないけどそれなりに明るい』と合致する。


「……ついてねぇぇ~……」


 状況を理解した俺は頭を抱えてうずくまる。なにも人が風呂入ってる時にダンジョン化せんでも。


 確かにダンジョンは世界中どんな場所にでも現れる可能性があるが……しかし三~四十年前の大昔ならいざしらず、研究が進んだ現代では町中など出現されては困る場所に結界が張られているはず。


 にも関わらずアパートがダンジョンに、という非常事態。なにかの偶然や手違いで結界に穴が開いていた、とかそういう理由だろうか?


 考えてもしかたない。なんにせよ、外へと脱出しなければ。


 幸いにも俺は『ダンジョン探索者』。ダンジョンに潜って魔物と戦いつつ、内部にのみ存在する貴重な物品を持ち帰る職業である。


 つまりは経験者。まだまだ高卒二年目の底辺探索者とはいえ、一般人が巻き込まれるより脱出の可能性は高いはず。やったるでー!


 ちゅー訳で、まずは現状の再確認をするぜ!







■現在の俺の状態

 ・全裸

 ・ダンジョン用装備、アイテムなし







 ……以上!


「――あれ、これ大ピンチじゃねっ!?」


 結論。


 とてもやばい。



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