090:初手は獲得フェイズ
タキシード姿のピンク髪の女性、デュースのターンから始まった。デュースは先ほどまで先頭に立っていた女性だ。ピエロに頬を舐められ胸も揉まれたが一切声を出さなかった彼女は4面ダイスを静かに振った。
デュースが振った4面ダイスの頂点に書かれている数字は2だ。2の目が出たということで、防御力が上がる装備を獲得できる『装備カード』を引くことができる。
デュースが引いた装備カードは花冠だ。効果は防御力が+1される。このままデュースの分身であるプレイヤーにそっくりなウサギのコマに花冠が装備された。
魔王サイドのデュースのターンが終了し勇者サイドのキンタロウのターンが始まる。
「全員最初のターンは獲得フェイズだけなんだよな」
プレイヤー全員の最初のターンは獲得フェイズのみ。4面ダイスで出た目によって獲得できるカードが変わる。
キンタロウは4面ダイスをゆっくりと転がした。4面ダイスの頂点に書かれている数字は3だ。3の目が出たということで、ライフを回復できる魔法が使える『回復カード』を引くことができる。
「げっ、回復カードか。これって使わなきゃいけないんだよな。ダメージ受けてないのに回復って……」
キンタロウが引いた回復カードはニンジンジュースだ。効果はHPを2回復する。ノーダメージのキンタロウには効果がなくHPの上限が30なのでこれ以上HPが回復しない。
勇者サイドのキンタロウのターンが終わり魔王サイドのトレイのターンが始まる。
デュース同様にトレイも静かに4面ダイスを転がした。トレイはピエロが右手を挙げて彼女たちを殺そうとしたときに1番震え怯えていた女性だ。4人の中では1番身長が低い。
トレイが転がした4面ダイスの頂点には1の数字が書かれている。1は攻撃力が上がる武器を獲得できる『武器カード』を引くことができる。
トレイが引いた武器カードはニンジンの剣だ。効果は攻撃力が+2される。このままトレイの分身であるウサギのコマにニンジンの剣が装備された。
魔王サイドのトレイのターンが終わり勇者サイドのモリゾウのターンが始まる。
「最初のターンになにが引けるかが重要ですね。なるべく数字の大きいカードを引きたいですが……」
モリゾウが振った4面ダイスの頂点に書かれている数字は1だ。1は武器カードを引くことができる。
モリゾウの目の前に武器カードの山が移動した。その武器カードのトップを1枚引く。モリゾウが引いた武器カードは普通の剣だ。効果は攻撃力が+1される。プラスされるカードの中では最弱なカードだ。
「プラス1ですか……」
モリゾウの分身でもあるウサギのコマに普通の剣が装備されモリゾウのターンは終了した。
勇者サイドのモリゾウのターンが終わり魔王サイドのケイトのターンが始まる。
ケイトは4人の中では高身長で1番クールだ。震えや怯えが最も少なくこの現状を受け入れているように思える。ピエロが理想とする操り人形に1番近いのではないかと思われる女性だ。
そんなケイトは細長い指で4面ダイスを摘みゆっくりと転がした。4面ダイスは1回転することなく静止し頂点には2の数字が書かれている。2は装備カードを引くことができる。ケイトは細い指で可憐に装備カードの山のトップを引いた。
引かれたカードは普通のヘルメットだ。効果は防御力が+1される。モリゾウ同様にぷらすされるカードの中では最弱なカードだ。
魔王サイドのケイトのターンが終わり勇者サイドのイチゴのターンが始まる。
「よし。頑張るぞぉ」
張り切りながら振ったイチゴの4面ダイスは勢いよく転がりテーブルの中央で静止した。4面ダイスの頂点に描かれた数字は4だ。
「あっ、能力カードだぁ。何かなぁ?」
4は能力カードを引くことができる。能力カードも引いた瞬間に効果が発動する特別なカードだ。その効果は様々でバトルを左右するカードがより多く含まれている。
そしてイチゴが引いた能力カードは封印の壺だ。効果は、4面ダイスを振って出た目の相手プレイヤーを次の1ターン休みにすることができる。
「え、強い」
封印の壺の効果に驚くイチゴ。その後、封印の壺の効果を発動するために再び4面ダイスを振る。小さな手から転がり落ちる4面ダイス。出た目は2だ。つまり魔王サイドの2番手トレイの次のターンがスキップされる。
勇者サイドのイチゴのターンが終わり魔王サイドのシンクのターンが始まる。
シンクは中学生くらいの女の子で4人の中では1番幼くピンク色に染まった髪も短い。ピエロに殺されずに残っているくらいだ。精神的に強い女の子なのだろう。
シンクは部活で焼けたであろう小麦色の小さな手で4面ダイスを握りしめるように取った。そのまま慣れない手付きで4面ダイスをテーブルに向かって転がす。
シンクが転がした4面ダイスは静止し頂点に1の数字が書かれている。1は武器カードを引くことができる。シンクは小麦色の肌をした手で武器カードを引いた。
引かれた武器カードは普通の縄だ。効果は攻撃力が+1される。そのまま普通の縄がプレイヤーの分身であるウサギのコマに装備された。
魔王サイドのシンクのターンが終わり勇者サイドのノリのターンが始まる。
筋肉男のノリはマッチョポーズを取りながら4面ダイスを太い指で力強く摘んだ。そして指の力を弱め4面ダイスをテーブルの上に落とす。落とされた4面ダイスはノリの最大値スキルによって一番大きい数字が出される。なので4面ダイスの頂点には4の数字が書かれていた。4は能力カードを引くことができる。
勝負を左右する能力カードをノリは己の最大値スキルの効果によって毎回引くことが可能なのだ。
ノリはマッチョポーズを変え能力カードの山のトップを引いた。引かれた能力カードは台風カードというものだ。
台風カードの効果は全プレイヤーに1ダメージを与える。台風カードの効果によってプレイヤーの分身であるウサギのコマに激しい風が襲いかかり全員のHPを1減らした。
「す、すまん」
マッチョポーズが弱々しくなったノリは小さな声で謝罪をする。
「いいえ大丈夫です。ノリちゃんのスキルはこのゲームの勝敗を大きく左右しそうですね」
ノリの謝罪にモリゾウが答えた。そしてノリの最大値スキルに期待をしている。
こうして全員の最初のターンが終わった。次のターンから選択フェイズと攻撃フェイズがある。
ここからがニンジン姫と3年戦争の本格的の戦いが始まるのだ。
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