012:死のジャンケンポン

 モリゾウが提案したジャンケンの必勝法についての作戦会議は5分ほどで終わった。

 そしてソファーでくつろぐピエロに作戦会議が終わったことが伝わった。


「あら? 10分も経ってないわね~ん❤︎もういいのかしら~ん?」


「おう。決まったぜ。俺は『グー』を出す!」


 キンタロウは自信満々の表情で拳を前に突き出した。

 そんなキンタロウを見て「面白い❤︎」とピエロは笑った。そして思考を巡らせた。


(金髪くんが『グー』を出すと自信満々に宣言した。これは誘導作戦かしらね。他のうち1人は金髪くんと同じ『グー』を出すはず。残りの2人は『チョキ』か『パー』のどちらかを揃えるはずね。じゃなきゃ確定で1人負けてしまうもの。そうした場合、処刑人Xくんが『グー』をだすと金髪くんチームが『グー』『グー』『パー』『パー』の場合こちらの敗北。『グー』『グー』『チョキ』『チョキ』の場合こちらの勝利❤︎処刑人Xが『チョキ』を出せば金髪くんチームが『グー』『グー』『パー』『パー』の場合こちらの勝利❤︎『グー』『グー』『チョキ』『チョキ』の場合こちらの敗北になるわね。そして処刑人Xが『パー』を出した場合、金髪くんが宣言通り『グー』で必然的にこちらの勝利❤︎なので100%勝てるパーを必然的に出さざるおえない状況にしたということにもなるわね。けれど処刑人Xがそのまま『パー』を出して勝利するのも良し。処刑人Xが『グー』か『チョキ』を出して金髪くんチームが勝手に出す手を変えて自滅するのも良し。結局確率は一緒だわ。勝てない可能性がある『チョキ』と『グー』を出し辛くさせたということね。これじゃ金髪くんとの1体1のジャンケンと変わらないじゃない。けれど金髪くん、彼のここまでの性格や行動から見てブラフではなさそう。必ず『グー』を出すはずだわ。ただ緑髪くんの指示で動いているとなると金髪くんよりも緑髪くんに注意した方が良さそうね。目立つ金髪くんを使った緑髪くんの作戦ね。お見事。それでも処刑人Xくんには勝てないわ。この子には心理戦は効かないもの……うふっ❤︎楽しみだわ~ん❤︎)


 この間、ピエロが思考を巡らせていた時間は約5秒。この5秒で要注意人物がキンタロウではなくモリゾウだと気付く。それほどまでピエロも只者ではない。

 しかしそんなピエロ以上にモリゾウも只者ではなかった。


(考えがまとまったような表情と心・情・ですね。でもその思考が全て無駄だと言うことは一切気付いてないみたいですね。一応、キンちゃんにヘイトを集めるように頼みましたが間違いではなかったようですね。これで全て整いました。あとは僕たちのタイミングが合うかどうか……)


 モリゾウは表情を変えずにピエロを集中して見ている。ジャンケンの相手は処刑人Xなのにモリゾウはピエロにばかり警戒しているのだ。


「それじゃ掛け声は私がするわよ~ん❤︎カードを出す準備はできたかな~ん?」


「準備オッケーイじゃー! やるぞー!」


 キンタロウは気合を入れるかのように叫んだ。その声にノリもイチゴも顔付きが変わった。ただモリゾウだけは表情は変わらない。

 そして処刑人Xとボドゲ部の4人は向き合った。そして3枚のカードを1つの束にまとめるボドゲ部の4人。


「それじゃいくわよ~ん❤︎最初はグ~」


 最初はグーのタイミングで全員、カードを自分の胸の前で構えた。


「ジャンケン」


 この時、モリゾウはニヤリと笑った。表情を変えなかったモリゾウだったがこの瞬間に勝利を確信したのだろう。思わずニヤけてしまったのだ。

 その表情をピエロは見逃さなかった。だが掛け声は途中で止まることなく最後まで続いた。


「ポン❤︎」


『第6層8マス』にピエロのジャンケンの掛け声が響き渡った。

 そして全員がカードを出した。



 処刑人Xは『パー』のカードを出した。そして唸った。



 キンタロウたちと処刑人Xとのジャンケンの結末は!?

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