テルミーグランマ

バーニー

第一章『祖母が死んだ』

 人なら誰しも、不毛な妄想をするのではないだろうか。

 大好きな人が明日死んだらどうなるのだろう…? とか、この人嫌いだから、車に轢かれて死んでしまえばいいのに…。だとか、そんな、一種の祈りのような妄想だ。

 だけど、願ったところで、タイミングよくそんな都合のいいことは起こらない。一等を狙って宝くじを買ったところで、掠りもしないようなものだ。

 運命は僕たちの想像通りにはならず、今日も、誰かの大好きな人、死んでほしい人は、生き続ける。だけど不思議かな。そういう妄想をしていないとき、つまり、身構えていないときに、それは起こるものだ。

 そして、僕の祖母が死んだのは、大学二年生の、ある夏の昼下がりのことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る