第10話 双子…?
最近、俺には困っている事がある。
それは…。
「ルルちゃん!お菓子焼いてきたんだ、食べてみて!」
「本当?やったあ!」
メイが顔を赤くして袋からお菓子を取る。
そしてもじもじしながらお菓子をルルの顔の前にもってくる。
「…はい、あ〜ん…。」
「いただきまーす!」
ルルはパクッとメイの手からお菓子を食べた。
この様子をメイ視点で見てみると…。
(ぁぁぁぁぁぁ…!!可愛すぎる……!!好き…!!)
と、心の中ではとんでもないぐらい悶えていた。
「ん〜美味しい!」
「もっとあるけど食べる?」
「食べる!ありがとメイちゃんっ!」
くうううううとルルの尊い顔を見て悶えつつお菓子を食べさせるとルルはひょいひょいとお菓子を食べる。
(なんだ…?この光景…。)
ここ最近、クラス1、いや学校1の人気者で、陽キャオブ陽キャの笹木メイさんがルルにべったりなのだ。
伊達に俺もラブコメを書いてない。
これは…多分メイさん、ルルの事が…。
いや、ここで言うのは野暮かもしれない。
そっとしておこう。
俺は今まで真逆である陰キャオブ陰キャとして生きてきた為、どう接していいかがさっぱり分からん…。
特に困るのは……、
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、放課後となった。
「マスター!帰ろっ!」
「お、おい学校じゃその、恥ずいだろ…。」
「良いじゃ〜ん!行こ行こマスター!」
ルルが俺の腕を掴んできて組んだ。
周りの男子が俺に殺意を向けてくる…。
こえー……。
「ルルちゃん!一緒に帰ろー。」
後ろから駆け足で来たメイさんがルルの空いてる方の腕に自分の腕を絡ませてきた。
(こ、この人…。毎度思うが大胆だな…。)
「もちろん!じゃあ3人で帰ろ〜。」
こうして俺、ルル、メイさんの3人の下校は日課となっていた。
側から見れば俺はとんでもない程の幸せ者だろう。
学校1の美少女2人と、しかもルルとは腕まで組んでいるのだから。
しかしだ、しかし俺にとっては冷や汗ものでしかなかったのだ…。
「マドカくん、今日もご一緒させてもらうね。」
「う、うん大丈夫だよ…。」
「あたたたた。メイちゃん、力強いよ。」
メイさんの俺を見る目…。
その目がたまに男子達の比じゃないぐらい恐ろしく感じるのだ…。
(この前、ルルと一緒に住んでるって言ったら、マジで殺されると思ったからな…。)
あの時感じた命の危険。
それを心に刻み、俺は陰に徹して家まで耐える。
家に着くと玄関に誰か居た。
「あ。マドカ。」
「マドカだ。」
2人は振り返って俺の名前を呼んだ。
金髪碧眼の少女が2人。
どっちとも眠たそうな眼でこっちを見てる。
「もしかして…。ファリンとファミン?」
ルルが口を開くと2人は頷く。
「あとお姉ちゃんも。」
「お姉ちゃんだ。」
ルルはパァァっと笑顔になり2人の元へ駆け寄り抱きしめる。
「2人とも〜!!会いたかったあっ!!」
「苦しい、お姉ちゃん。」
「ぎゅうぎゅうだよ、お姉ちゃん。」
隣でメイさんが俺の脇腹を小突いてきた。
普通に痛いんだが…。
「ちょ、ちょっとマドカくん。あの2人は…?」
「あ、えっと…。あの2人はルルの妹、双子のファリンとファミン。あっちの髪を右で縛ってるのがファリンで、左がファミンだよ。」
メイは目を見開き、こっちを見ている。
衝撃を受けたようだ。
「る、ルルちゃんの妹…!?」
するとごそごそし始め、お菓子を取り出す。
俺はなんとなく察した。
「こんにちは!ファリンちゃん、ファミンちゃん。私はルルちゃんのカノjy……親友の笹木メイって言うんだ。2人とも、これ私が作ったお菓子だけど食べる?」
なにか言おうとしていたがあえてスルーしよう。
「いただく。」
「食べたい。」
2人はメイさんのお菓子をルルと同じように手渡しで食べた。
「美味しい。ありがとうお姉ちゃん。」
「お菓子くれるお姉ちゃん好き。」
「お、お姉ちゃん…!!??」
どうやらまた悶えているらしいが、今回は比較的早めに終わった。
だが、急に俺の方を見てきた。
「ふっ…。」
渾身のドヤ顔である。
「…?」
まあ、良い。
俺は2人にどうしてここにいるのか聞いてみることにした。
「2人とも、どうしてここに?」
「私たち、ここに住む。」
「よろしくマドカ。」
2人はあっさりとそう言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます