フェンリル娘のドタバタ日記
Nau
第1話
温かい…ふわふわする…
真っ暗な海の中を揺蕩っているような心地よさを感じる。
ずっとここにいたい。だけど下に下に強く押されている感じがする。目が開かないから、周りの状況なんてわかんないけどここにいたくて、私を押す力に必死で抵抗した。だけど、どんなに抗っても押す力の方が強くて、ついに私は外に押し出された。私の周りを覆っていた温かいものがなくなって、あんなに真っ暗だったのにいきなり眩しかった。さっきいたところよりも寒くて、説明できない不安からギャンギャン泣いてしまった。
「あらあら、元気ねぇ」
女の人の声がして、薄く目を開く。最初はボヤボヤだったけど、だんだん目が慣れてきたのか見えるようになってきた。
ここどこ?木がいっぱいみえる。森…?
な、なんで?!私、築ウン十年のボロアパートで寝てたはずなんだけど!
キョロキョロと辺りを見渡すと、赤茶色の綺麗な髪を持った女性がいた。
「キャンキャン!(誰?!)」
え、今の声なに!子犬が吠えてる声みたいなのしたんだけど!
「可愛い私の赤ちゃん、ママですよ~」
さっきの綺麗な女性に抱き上げられた。
ママ?!どういうこと?これって最近よくある転生?私死んだ記憶なんてないんだけど…でも、木々の匂いはあまりにもリアルだし…ほんとに私死んじゃったのかな。転生したんだとしたら私一体何に転生したの?
「あら、混乱しているのかしら?おかしいわね、神獣の子は生まれた時から自分が何者なのか理解しているはずなのだけど…旦那様」
何が何だかわからずはてなを飛ばしていると、白銀の髪を持ったとんでもないイケメンが視界に入ってきた。ママ(仮)が旦那様と呼んでいたからこの人はおそらくパパ(仮)のはず。
「ふむ、おいで」
ママの腕からパパにうつされ、額にキスされた。するとそこからふわふわと温かい気持ちになって次第に眠くなってきてしまった。
「少し眠るといい。起きた頃にはきちんと思い出せているはずだよ」
なるほど。なんだかよくわからないけどおやすみなさい!
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