綴じた空に

タムラ ユウイチロウ

綴じた空に

例えば死に際に

曇りの日の海と

晴れの日の海と

雨の日の海の空の違いを考える


奪い奪われ

産声を上げ心芽生え泣き声を発するその間にも

切り裂かれる命の多数


冷蔵庫の中

通り抜ける歳月の細胞分裂

入れ替わるもの恒久なもの


感受性豊かにと

自らの心を責め立ててみても波立つことしかなく

距離や、海を隔てて等速であることも煩わしく


美しい景色がある

美しい歌が聞こえる


純に愛を語る美しい人たち

寄り添おうとする言葉の数々

悪態もまた美徳への道程と


喉頭をぬけ、喧騒に沈み

両手で耳を塞ぎ

目を固く閉じようとも

そこにいる人の香りまでは消えず


恐る恐る

力強く

一歩と言わず半歩を踏み出すこと

美しいこと


鮮やかさに目を奪われたのは

誰のせいでもない


それすらも許せない

許せなくなった人はひとりごち

やがて、愛ある人は愛ある場所へ去っていく


息苦しく

腹が減り

地べたに伏して、土を舐める


繰り返し

敗れ去ったことを知り

えんえんと

えんえんと

えんえんと涙血流れて


その日が訪れなければいい

おとずれた日には

その日の海の空は

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綴じた空に タムラ ユウイチロウ @you_monodiary

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