20.彼女

 しっかし何でフー子はいきなりこんな事を言い出したんだ?

 家が隣同士で、フー子とは母親の腹の中に入ってた時からの幼馴染みだ。

 コイツも友達は多い方じゃないし、もしかして……俺をヨシトシに取られたと思って、寂しいのか?


 今まで、気に掛けもしなかったけど。


 フー子は俺の事が好きなんだ!! そうに違いない!!


 フハハハハ、そうだったのか!

 なーんだそれなら早く言えば良いものを!

 仕方ない、数多あまたいる俺の彼女のうちの、一人にしてやろう!


 注 : 太郎に彼女は一人もいません。


「おい、フー……」

「ああん、太郎と武者小路くん……理想の推しカプがリアルに……ハァ、ハァハァッ」


 げふっ。

 口から血がポタポタ。


 うん、どうやら俺の思い過ごしだったようだ。

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