16.暑い日には

「今日はあっつぃーなぁ〜」

「あ、私、ハンディファン持ってるよ。使う?」

「おー、サンキュ、フー子」


 フー子から小型扇風機を受け取ろうとした瞬間、それはヨシトシによって阻止されてしまう。


「ヨシトシ?」

「太郎、それを使う必要はない。俺ならミスト付きのファンを持っている」

「マジで? 用意いいな! 貸してくれよ!!」

「分かった、目を瞑っていろ」


 ん? 目を瞑る? 子供みたいなやっちゃな。

 俺はヨシトシに言われた通り、軽く目を瞑った……その瞬間。


 ブピューーーッ

 バシャバシャッ


 顔に何かダバダバきたーーっ!


「っだーーーーッ!! 何しやがる!!」

「人工ミスト」


 お前の口から、どばどば水が流れ落ちてんだろが!


「ぜんっぜんミストじゃねーよ!!」

「じゃあスプラッシュ」


 またも水を口に含んだヨシトシは、俺目掛けて水を飛ばしてきやがるっ!

 何が『じゃあ』だ、何がスプラッシュだ!!


「ねぇ、武者小路くん。ファンはどこに言ったの?」


 余計な事を言うな、フー子ぉぉお!!


「それは今からだ」

「うぎゃ、こっち来んなーーー!!」


 ヨシトシ、ふーふーしながら追っかけてくんな!

 そんな俺らを見た腐れ女、ハァハァすな!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る