男子ぃーずプラス腐女子

長岡更紗

01.in教室

 おっす!

 俺は高校二年生、自称イケメンの山田太郎だぜ!


 え、名前が平凡?

 そんな……キラキラネームなんて……憧れちゃ、いないんだからねっ。


「今日は転校生を紹介する」


 担任の久保っちの後ろから、なんか図体のデカイやつが入って来た。

 転校生かぁ、女子が良かったなぁ。

 目が合った途端、ビビビッって運命感じちゃったりして。うっひょー、たまんねぇよな、そういうの!!


武者小路むしゃのこうじ 義俊よしとしくんだ。仲良くするように!」

「……よろしく」


 おお、何かすげー重厚な名前のヤツきたー!

 しっかし、ニコリともしやがらねぇな。無表情そのものだ。


「じゃあ武者小路は、山田の隣に座ってくれ。ああ、そこの一番後ろの席な」

「はい」


 武者小路義俊が、俺の隣の席を目指して歩いてくる。

 これはイケメンパワーをフル活用して、明るく話しかけるに限る! それを見たクラスの女子達の視線は、俺に釘付けになるはず……よし、今だ!


「よお、俺は山田太郎! 分からないことがあったら、何でも聞いてくれよ! よろしくな!」


 爽やか好青年風の挨拶は完璧。これでクラスの女子の視線は俺のモノ……って、誰もこっちを見てねぇ!?


「あ、ああ、よろしく」


 そう言うと、この男は、右手を出して来やがった。握手って事か。男と握手なんてしたくねぇなー。でも仕方ない。

 おれも右手を出した瞬間、バシッと掴まれた。


 ビビビビビビッ


「おわーーーーーーーっっつ!?」


 突如俺の体に電気が走った。どういう事だよ、この野郎は帯電体質か!!


「……ビビッと来た」


 えっ、って、お前、何で顔を赤らめてんの?


 …………え。

  俺ぇぇえええええええええ!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る