第32話 side 陽人② 【過去】
初めて人に言えて、スッキリしていた。
コウキは、色々言ってくれるけれど……。
可愛くないと思うのは、あの人達のせいなんだとわかっている。
「まだ、飲むだろ?」
「あっ、うん」
「娘を可愛くないって話を聞いてもらっちゃったついでに……。俺の話聞いてくれる?」
「陽人の話?もちろん、いいよ」
「本当は、しほりに言えたら良かったんだけど。しほりは、あの人達を気に入っているから……。何か言えなかったんだ」
「あの人達……?」
「ああ、俺の家族」
「何だか他人行儀な言い方だな」
「他人だったらいいって何度も思ったからね」
「話してよ。俺は、陽人の事知りたい。どんな事でも……」
「聞いたら、どうせ。人のせいにするなーーとかって言うだろ?コウキも……」
「そんな事言わないよ。だから、聞かせてよ」
「ありがとう。ずっと二人目をいらないと思ってた気持ちや娘を可愛いと思えない気持ち。それがきっとこれじゃないかって最近気づき始めていた。見ないようにしてたんだけど……」
「うん」
「誰かに話せば、前に進めるかも知れない。だから、コウキに話すよ」
「うん」
「黙って聞いてて欲しい」
「わかった」
俺は、ビールをいっきに飲み干してから深呼吸をして話を始める。
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