14日目~15日目(クロムとネオンと卵たち)

最近は戦闘訓練や政策の開始などやることが多いが、それ以外にもやることはある。その最たるが、卵のお世話である。


「タマちゃん!くすぐったいよ!」


例えば戦闘が終わったことをどこからか気が付いたソルの卵はすぐに彼女の元に向かう。それを汗が乾かない状態でがきしめて、フィリアに二人ともお風呂に入れられるのがワンセットである。


それとは対照的なのがルナの卵。こっちもルナを親と認識はしているのだが、どうも今は護トアイルがしている【調薬】や【錬金術】が気になっているようだ。


「見つけた…」


「お疲れさん。」


「ん…邪魔してない?」


そういわれた卵が、ルナに体当たり。『邪魔なんてしてない!』そういいたいのだろうか?


「ん…いいこ。」


ただ、ルナはソルという妹がいるからか、面倒見がすごくいい。卵もどこか得意げである。


「アイル兄さん…ポーションできた…?」


「ぐはっ!」


「さすがルナ。一瞬でアイルを急所をとらえるとは。」


本日の成果はポーション2本。ちなみに挑戦は2桁ぐらい。そして、とうとう薬草の在庫が切れました。なお、実は行っている方法の難易度が高いのが原因だったりするが、この方法しか知らないアイルには気づけるはずがなかった。


そんなアイルの卵はと言うと、頭の上で眠ったロアに抱えられたままほとんど動かない。いや、これは…


「「zzZ」」


寝ていた!


大げさに言ったが、アイルの卵はこうやって眠っていることが多い。後、なぜかロアのことがお気に入りで一緒にいることが多かったりする。ロアもお昼寝仲間ができたと喜んでいるのでwinwinなのだろう。



「あの、私なんか最近影が薄くないですか?」


「どうした急に」


「いえ、なんかそんな気がしまして」


それはリジアが生産も戦闘もある程度、完成さらているからです。ただ、別に暇を持て余しているわけではない。自身が使う魔法陣の最適化を、午後にはルナの魔法訓練をつけるなどなかなか忙しい日々を送っていた。なお完全に余談だが、護はやり方が特殊過ぎと言う理由初日以降はルナの訓練からは追い出されている。


「それで魔方陣の研究の方はどう?」


「結構いい感じです。護様の方は?」


「こっちはそこそこ。ただ、アイルは苦しんでるね~。調薬施設か薬草畑作った方がいいかな?」


「【薬草畑】はいいかもですね。でも【調薬施設】はまだ資材が不足しているので難しくないですか?」


「正直きつい…」


「議論の余地が初めからないじゃないですか!」


「あと、冷静に考えれば薬草畑を今作っても収穫に人が回せない気がする…」


「はい、この話は終了です。」


そういって、フィリアは外に移動する。そうして、たっぷり10秒後。


「なんであなたは付いてこないんですか!?」


再び扉を開いて現れるフィリア。その視線は、護の手の中にすっぽりと収まっているフィリアの卵へと向いている。


フィリアは抱き抱えようとてを伸ばす。しかし、これまで決して動かなかった卵がいやいやと護の後ろに隠れてしまった。


「もう!マモル様も笑ってないで手を貸してください!」


なお、このやり取りは初日から始まっている。お陰で護の方も慣れたものである。というか、フィリアと護が出会うと大体起きるのでフィリア以外のメンバーにとってはもはや日常風景でしかない。ちなみに、護が傍にいなければ素直にフィリアの傍にいるし、忙しそうにしているときも邪魔をしない。護がいる時かつ、護が暇なとき限定でこうなるのだ。


「ほら、そろそろフィリアが困っているからねー」


護の言葉を聞いて、「しょうがないな~」て感じでフィリアの方へと向かう。


「はあー、なんでこうなんでしょうか…?」



あくる日


「クルルー」


「ワン!」


「ちょっと!クロちゃん!ステイ!」


こちら、彼らが育てている卵とその他をお預かりしている保育園。という名の神域になります。飛び回るクロムの周りには2つの卵。机の上に置かれた本を倒しながら、自由を謳歌する3匹。しかし、一瞬の隙をついて、クロムの首根っこをネオンが捕まえる。


「クルルルー」


「ワッフ!」


「ネオンありがとうね。でもなんであなたが入れているのかしらね?」


なんでやろうな?ちなみにネオンが神域に入れるのようになったのはネオンが生まれてからである。ただ、それは護の神格が上がったタイミングでもあるので何が原因なのかは正直不明だ。


「クルー!」


「ほら少し休みましょうね。」


そうやって、リジアが慌てている一方で護たちは現在。二回目の収穫中である。


「ロベルトさんにこんなことさせていいんですかね?」


「いいのよ♪むしろ生まれたときから戦闘ばっかりだったからすごく新鮮だわ!」


そういいながら、細い茎を引っ張ると大量の落花生が現れた。ちなみに今回収穫物はこんな感じだ。


落花生

モチキビ

ニラ

ショウガ

トライシード

ゴボウ


すごく地味なラインナップ!ちなみにトライシードは、三角形の実を実らせる野菜で表面は硬くて食えないが、中の種がプチプチ食感でサラダなどで使用される。


「なんで木の根が生えてるんですか?」


「フィリアさん…それはゴボウです」


こちらはゴボウコーナ。なんというかフィリアはフィリアであった。


「ルナにー!これすごく大きいよ!」


「ん…どんどん行く…」


続いてこちらはショウガコーナになります。時たま現れる大きなものや独特な形のショウガを探しながら楽しそうに作業を進めている。


「それにしても…ここでは神様も農業をするのね…しかもそれに違和感を感じさせないのは何なのかしら?」


「マモル様ですから…大丈夫です。そのうち違和感すら感じられなくなります。」


「それはそれでいいのかしら?」


黙々とニラの収穫をする護を横目に自身の常識を確認しあう2人。しかも、護の収穫速度がそこそこ早いので余計に悪目立ちしている。そうこうている間に、モチキビの収穫に移動していた。


ちなみに収穫にはゴブリンから回収した剣を使用。なので当然切れない。


「ん…変わる?」


「任せた…」


なんかこの流れ前にもあったような?ただの今回のルナは風魔法をナイフに使いスラスラと切っていく。ギコギコはしないのです。いや、それナイフいるのか?今なら風だけでいけるだろ?


「ん…!(サクサク)」


「ソルも手伝う!」


まあ、楽しそなので、なんでもいいか。


「ほぼ収穫完了ですね。」


「ねーねー!今日はこれで料理するの!」


アイルと護に期待の目が向けられる。確かに前回は収穫した食材で調理をした。したが…


((いや、この食材でどうしろ…))


とにかくメインを張る食材が無いのだ。というか、落花生、モチキビ、トライシードはどう調理しろと?


その後、作成したゴボウとジャガイモとウインドバードの肉の煮物(和風)と、ニラとルプボアのスタミナ焼き(ニンニク代はプルボアの魔石を売却)を作成。結果この日はすごい量の白米が消費されたそうだ。




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