5日目午前(食料調達戦①)
現在の場所は高低差のある山のようなエリア入り口付近。推奨レベルは3である。そんなエリアの入り口でフィリアと護はイノシシ型の3本の角を持つ魔物と対峙していた。
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ルプボア Lv3
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既にルプボアは臨戦態勢。それに対して護もフィリアの前に出て拳を構えている。
「それじゃ、フィリアはサポート頼んだよ」
(どうしてこうなったんでしょうか?)
そんな気軽な言葉を聞きながらフィリア現在に至る理由を考えていた。なぜ、二人だけでこのような場所にいるのか。それは昨夜の食後の会話が原因であった。
…
わいわいと食事を終わった後、護、アイル、フィリアはその日の報告のため集まっていた。
「といった感じです。それでマモル様にお願いがあるんですが。」
「いいよ。」
「早い!あと軽すぎますから!」
フィリアが想像していた1.5倍の軽さで了承されたことに突っ込みを入れるフィリア。
「まあ、もともと一緒に冒険したかったしね。それに【銃術】は取りたかったから構わないよ。そんなことより、他のスキルについてなんだけど」
「そんなことって…」
「まあまあ、それでマモル様はどんなスキルを取得するんですか?」
「【銃術】を上げるから少し変わるけど、こんな感じかな。」
そういって、護は昼間に作成していたスキルの一覧を見せる。そこから、さらに二人の意見を参考に内容を変え、最終的に記載されていた内容が以下である。
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精密魔力操作Lv2 格闘術Lv6 錬金術Lv4
料理Lv1 鑑定Lv4 調薬Lv2 銃術Lv1→4
ガーデナーLv5→3 体術Lv2 テイマーLv3→2
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「ありがとうね相談に乗ってくれて。」
「これぐらい気にしないでください。」
「そう言ってくれると助かるよ。話は戻るけど、バリスタということは矢が必要になると思うけどその辺は見つかってるの?」
「それはまだです。もっと言いますと、そのバリスタで何をするかもこれからです。」
「なるほど、場合によっては矢は作ることも考えるようかもね。ただ、そうなると素材の問題が出てくるか…」
そこから、見つけたギミックの使い方について話していくが、結局は再度調査が必要と結論に至るのだった。
「そうだ、実はそろそろ食材不足が気になってきたんだよね。」
会話が落ち着いたタイミングで思い出したように、護が会話を切り出す。
「それで実はみんなを待っているときに少し周り調べてみたら、教会から見て東側のエリアが推奨レベル3の山みたいなんだ。高低差はあるけど近いし、食料も期待できそうだからみんながいないときに探索に行こうかと思ってるんだよね。」
「確かに、食料は僕も心配してますが…、でもマモルさん一人で大丈夫ですか?」
「まあ、大丈夫でしょ」
「いや、神様を一人で行かせるなんてだめですよ!?」
「いや、俺は気にしない…」
「私が気にします!」
神のHPが0になるのは、一時的に異界の成長が止まることを意味する。そうでなくても、フィリアは【巫女術】を収めるものとして神を危険にさらすことに納得できない。
「なら、フィリアさんもついていけばいいんでは?」
「そうです!一人で行かせるぐらいなら私…が?」
「あれ、でも明日もレベル上げに行くんじゃなかった?」
「今日の感じだと、深追いしなければ3人でも問題ないと思います。」
「じゃ、俺とフィリアで行こうか。」
…
そうして今に至る。
(あれ?大体私の自爆ですかね?)
「ブボー!」
その声を引き金に一気にルプボアが護へ突撃してくる。しかし、それを躱すだけであれば今の護であれば簡単である。まあ、躱す気が護にあればだが…
「マモル様!?」
動かない護にフィリアは慌てて声をかける。しかし、護の視線はルプボアからは外れない。接触まであと、3…2…1…
「おらー!」
突き出された両腕は、鼻の横に生えた角を捕えるが、大地に二本線を残して引きずられる護。しかし、その距離に反比例してプルボアの速度は失われていく。そうして、完全に停止したところで、プルボアの小さな前足を護のローキックが襲う。重たい角を3本も持った代償に重心が大きく前によっているルプボアにとってその一撃な致命的だ。
「ブボ!?」
ルプボアが自重に負けて転倒したとことで普段は隠れている
(好機!)
そう判断した護は、隙ができることも構わず腹部へ全力移動。ルプボアも最後の抵抗と手足を動かすも横になった状態では意味はない。そうして放たれた
ブチッ
何かを千切るような音と共に護の腕が引き剝かれる。見ればその手には魔石が握られていた。重要な器官を失ったルプボアはしばらく痙攣すると、光となった消え始めるのであった。
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リザルト
ルプボアLv3× 1
ドロップ
ルプボアの肉× 1
ルプボアの巻き角× 1
魔石(ルプボア)Lv3×1
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「よし、さっそく肉が出た。」
重さにして大体200グラム程度のルプボアの肉を拾いそのまま【鑑定】を利用する。
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ルプボアの肉 食材ランク1
食用肉。豚特有の臭みはあるが、そのワイルドな味にファンも多い。全体的に肉質は硬め。
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(どちらかというと煮込みようかな?灰汁抜きすれば、匂いは落ち着くだろうし。)
「マモル様?」
護がそんなことを考えていると、背後から戸惑ったような、それでいて怒ったような声がかかる。
(あっれー?何か怒らせることしたかな?)
「どうした?もしかして、何か被害があったとか?」
「そうじゃなくて、どうして避けないんですか!私すごく驚いたんですよ!」
「いや、前衛が受け止めないとだめじゃない?」
「距離は十分あったんですから避けてください!私なら大丈夫です!」
「それでもフィリアの方に行く可能性があるならダメだって。」
「護様がやられる方が被害が大きいんですよ!私はHP がなくなったところで教会に戻るだけです。しかし、護様がやられた場合はペナルティが発生するんですよ!」
「確かにそうかもしれない。でも、それは目の前の
「…!?」
『信徒などリソースだ。そんなものを貴様が気に掛ける必要などない。』
そう言われて育ったフィリアにとって神は絶対的な支配者である。決して、肩を並べる存在ではない。だからこそ、護の言い分が彼女には理解できない。
(そもそもなぜ気にかけている私が困惑しなければいけないのでしょうか?)
そう思うと、怒りにも似た感情がわいてくる。彼女もこれが癇癪であることはわかっている。しかし、それを我慢できるほど彼女もまた大人ではない。
「わかりました!なら私もマモル様を神としては扱いません!」
感情に任せて放たれた言葉。フィリアの知っている神に言えば殺されるだろう言葉であるのに、護はそれを嬉しそうに聞いている。
「何を嬉しそうにしているのですか!?ほら、他のみんなも頑張っているんです!私たちも先に進みますよ。」
「あ、待てって。前衛をおいて、後衛が前に出るなって」
そういって、進み始めるフィリアを護は追いかけるのだった。
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