ユレネイド

oira

蠢爾

X+80年9月


「ホ―――――ムイン」

「フェインズ対アンビシャスの決着が、今。」

「非常に良い能力を持っている球界きってのエース対決に終止符が打たれました。」


「いやー、良い試合を見せていただきましたね。平さん」

「そうですね。ファンからすると、何度はらはらしたことでしょうね。」

「やはり、使いどころが勝負になりますからね。」

「それぞれの持っている力の使い方がカギになりますからねー。」

「ただまあ、勝負はじゃんけんのようなものですから、次はどうなるか。」

「それもまた楽しみの1つですね。」


しーんと殺風景な部屋の中、テレビの音と光だけが動きを帯びている。


私たちがここに居ることを彼らは知らない。


ここには今、千人程度の、私と同じ考えを持った者が潜んでいる。

いや、暮らしている。呼吸をしている。

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