第43話 欲しい物が違う
近くのラブホ。
悠乃は涎を垂らしながら焦点の合わない目をしている。
「ハァハァ~もう駄目、動けない!」
体は痙攣をおこし、襲い来る快感にどうする事も出来ないで横たわっていた。
「ハァハァ……」
俺にお金や人気などは必要が無い。
食事の為だけの女を抱く。
それだけだ。
手加減する必要は無い、思う存分精を吸い、快楽を与える。
そして、首からだとバレるので太腿に吸い付き血を吸った。
「そう、それじゃ、良かった。またのご指名ををお待ちしてしております」
それだけを伝え、裸で快感で動けなくなっている悠乃を置いて俺はラブホを後にした。
◆◆◆
「優斗さん、ただいま~」
一応は責任者だ。
笑顔で挨拶を返した。
優斗は俺を店のバックヤードに連れ込み話始めた。
「お前、一体何をしたんだ?」
「別に何も? ただ熱いまなざしであの女を見たら俺を指名してくれた。それだけだ」
「そんな事で、他のホストのふと客をとれるわけないだろうが!」
「ただ、立っていただけじゃ違反じゃないでしょう? 俺は魔性の男ってことだ! それより今は勝負中だ! 邪魔をしないでくれ」
「そうか! だがうちは枕営業は禁止だ。うちはそう言う店じゃない!」
「あっ、それ違います! 俺無類の女好きで、女をたらふく抱けるからホストやっているだけなんで、お店に来て欲しいから女を抱くんじゃなく! 女抱きたいからホストやってます! だから、これは枕じゃないんで! それじゃ店に戻りますね」
「お前……そのうち痛い目に遭うぞ」
「それも無理ですね! 俺強いですから」
支配人の優斗は俺を睨んでいるが気にしたら負けだ。
◆◆◆
再び、定位置の壁に寄りかかっている。
他のホストはもう女性と一緒に飲んでいる。
よく考えたら、来店から待つ必要は無い。
他のホストと飲んでいる女を貰うのもありだ。
いくら食事とはいえ好みはある。
これは浮気ではない。
ただの食事だ。
だが、肉が食いたい、魚が食いたいと好みがあるように、バンパイアでサキュバスの俺にも好みはある。
さて美味しそうな獲物はいるか。
『あれ、あそこにいるのはナオじゃないか?』
確か、元アイドルでグラビア、そして最後はAVに出た。
そんな感じだったよな。
元アイドルって言うのがあってAVの契約金が3億円だった。
それをネットニュースで見たから覚えている。
ジーンズにTシャツの男が壁に寄りかかっていれば嫌でも目立ち。
ナオと目が合ったのでそのまま魅了をかけた。
暫くして……
「勇樹のテーブルにヘルプに入ってくれないのか?」
そう言う指示が入ったが……
「悪い! 俺は今勝負中だから、本指名以外受けないんだ」
そう言うと黒服はそのままナオのテーブルの方に向かった。
勇樹というホストのお客がナオだったのか。
なにやらテーブルで揉めているみたいだ。
「だから! 私はあの男の子と飲みたいの!」
「ナオ、彼奴は本指名しか受けないんだ、そうだ他の」
「あっそう。それならあの子を本指名する」
「ちょっと待ってくれ、そんな事されたら、俺の立場がなくなる。これでも俺は……」
「うるさいなぁ~今まで散々貢いだんだから良いでしょう? 優斗さん、私あの子指名したい」
「ナオ様、ホスト遊びのルールは分かっているでしょう? それは」
「そう? ならいいや。それが無理なら、もうこの店来ないから、それじゃ帰るわ、本当に不愉快だわ」
「ちょっと待って、わかりました。特別に構いません……おい、理人、指名が入った。このテーブルを頼むよ」
「このお酒は?」
「全部かたしてしていいわ。君には新しいの入れてあげるから。なにが良いの?」
「それじゃ、ドンペリのピンクは如何でしょうか?」
「そんな安物飲まないわ。ドンペリならプラチナにしましょう」
「畏まりました。ドンペリのプラチナにウーロン茶1つ」
「ウーロン茶? あんたホストなのに、お酒のまないの?」
「余り、飲みません」
「あのさぁ、ホストはお酒を飲んでなんぼだよ? お酒減らさないと儲からないから、ほら飲みなさいよ」
「すみません、お酒はちょっと……弱くて」
「へぇ~そうなんだ。だけどそれでどうするの? 稼げないよ?」
「余り稼ぐつもりはないんですよね……まぁ、正直女性目当てです!」
「本当かな? それじゃ、私がアフターお願いしたら相手してくれるの?」
一応は、少しは稼がないと不味いな。
「それじゃ、もう一本プラチナを入れて2本飲み終わったらすぐに行こうか?」
「アフターってより仕事中でしょう? いいの?」
「勿論」
というより、俺は元からそっちが目当てだからな。
凄いな。
そんなにアフターがしたいのか、ナオはシャンパンを開けるだけ開けて少し飲んで、とっと会計してしまった。
金額は約180万円。
凄く勿体ないが、仕方が無いよな。
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