第5話 【過去】 この時の俺には…

俺はその後何度も自分のステータスを見直した。


間違いなく、何度見ても


黒木 理人

LV 1

HP 20

MP 10

ジョブ 盗賊 異世界人

スキル:翻訳.アイテム収納、強奪(通常) 

特殊スキル:スキル強奪


だった。


「かなり低いステータスですね、気を落とさず頑張って下さいね」


「頑張ります!参考に教えて頂けますか?このステータスだとどの位の能力なのでしょうか?」


「村人でももっと強いですね、恐らくは子供位でしょうか? 本当に気を落とさずに頑張って下さいね」


気なんて落とさない。


落す必要は無い。


俺には


特殊スキル:スキル強奪

がある…


これがあれば、どんなに他の数値が低くても逆転出来る。


「そうですか、それは残念ですが頑張ります」


「気を落とさずに頑張って下さいね」


「はい」


そんな悲しそうな顔なんてする必要は無いよ。


多分、俺すぐに強くなるから。


約束は約束。


守らないといけない。


あまり見せたくないんだけど、平城さんには見せないとな。


「平城さん、俺のステータスなんだけど」


「あっ理人君も終わったんだね、どれどれ えっ本当なのこれ!」


「恥ずかしい話、本当なんだ」


そんな顔をする必要は無いよ、俺には過ぎた物だ。


「なんて言って良いのかな…」


「他の人のステータスもそんなに高いの?」


「そうだね、さっき騎士の工藤君と魔法使いの法子のステータスを見せて貰ったんだけど!こんな感じだったと思う」



工藤 祐一

LV 1

HP 200

MP 50

ジョブ 騎士 異世界人

スキル:翻訳.アイテム収納、剣術レベル1  水魔法レベル1


坂本 法子

LV 1

HP 60

MP 190

ジョブ 魔法使い 異世界人

スキル:翻訳.アイテム収納、火魔法レベル1 水魔法レベル1 


「そうか?まぁ頑張るよ」


「何を言って良いか解らないけど、頑張ってね!」


「解ったよ」


余りガッカリはして無い。


俺には 特殊スキル:スキル強奪 がある。


このスキルがある以上、俺にもチャンスは沢山ある。


「気を落とさずに頑張ってね、あっゴメン呼ばれたから」


「うん、引き留めて悪かったね」


「じゃぁね」


この時、平城さんの顔色が変わった事に気がついていたら、平城さんが俺以上にライトノベルを読んでいる事が解っていたら、この先の悲劇はから逃れる事が出来たのかも知れない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る